桜甫のマル秘テクニック(旬の食材○ごと美味しく!)

<ひじき>

ホンダワラ科ホンダワラ属 和名:ヒジキ 日本では北海道から四国、九州、海外では朝鮮半島、中国南部に分布。
長さは50〜100cm。干ヒジキとして販売される事が多く、生は旬の時期に短い期間で販売。
細長い茎の部分と葉や芽のように出ている部分を分離して製品化される事が多く、茎の所を長ひじき、糸ひじき、茎ひじき
などと言い、芽の所を芽ひじき、姫ひじき、米ひじきなどと言われています。
10年ほど前にカナダ食品検査庁が、発ガン性のある無機ヒ素の含有料が多く、消費を控えるように勧告し、イギリス、香港、
ニュージーランドなどの食品安全関係機関でも同様の勧告をしましたが、日本では2004年7月に厚労省が調査結果の含有量からは、体重が50gの人が継続的に毎週水戻しした33gのひじきを食べ続けない限り、WHOの暫定的耐用週間摂取量を上回ることはなく、通常の食事方法では健康リスクは高まらないとの見解を発表。

<栄養>
100g中カルシウムが1400mg(牛乳の12倍) 食物繊維43.3g (ごぼうの7倍) 鉄55mg(鶏レバーの約6倍、ほうれん草の25倍)
カルシウムが効率よく働くためには、マグネシウムが必要ですが、ひじきにはカルシウムとマグネシウムが2:1でバランスよく含まれ、
また、抗酸化作用の強いカロテンやビタミンB2も含まれているので動脈硬化の予防が期待できます。
糖尿病の予防にはクロムという成分が注目を浴びていますが、クロムはインシュリンの構成成分となる栄養成分で
ひじきにはたっぷりと含まれています。
食物繊維は大きく2種類に分けられ、ダイエットに効果的な「水溶性食物繊維」はコレステロールを下げたり、
糖の吸収をゆるやかにする働きがもうひとつの「不溶性食物繊維」よりも強く、脂肪の蓄積も遅らせることが出来ます。
「不溶性食物繊維」は、腸の活動を活発にして有害物質や不要な物質を対外に排泄する作用を高めるために便秘の
予防にも役立ちます。
鉄は血液の成分、赤血球に必要なミネラルで、貧血になりやすい人は意識して摂取してもなかなか吸収がされないのですが、
鉄の吸収を高めるビタミンCや良質のたんぱく質を含む食品を一緒に摂取することで、十分な摂取が可能です。

<見分け方>
深みのある黒色で、生のものはツヤがあるもの、乾燥したものは均一な黒色が良品。また、大きさ、太さなども 揃っているものの方が良品です。よく売れているお店で購入するようにしましょう。

<保存法>

密閉容器に入れて直射日光や蛍光灯の光が当たらない冷暗所に保存しましょう。 水で戻したものはその日の内に調理するようにします。

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<さより>

ダツ目サヨリ科サヨリ属 和名:サヨリ 沿岸性で、樺太の西側から台湾にかけての北西太平洋、日本海、渤海湾などの陸地近海に分布。 海面すれすれを群れを作って泳ぎ、動物プランクトンを捕食したり、浮遊する海草の切れ端などを摂食します。 全長は最大40cmほどで同じダツ目の秋刀魚と似た細長い体型。サヨリ科の一般的な特徴しては、下あごが長く 突き出していて、ユニークというかとてもアンバランスなアゴをしています。 背中は緑青色の点々が集まっていて、腹側は銀色で、身は透明感のある白身。 見たけに寄らず腹黒い人の代名詞にされるサヨリは、腹膜が真っ黒。身が半透明で光を透過しやすい魚の腹膜は 黒いものが多く、成長に伴って摂食した海草の光合成を抑制するための適応のように考えれています。 4月上旬から8月中旬あたりが産卵期で、群れて藻場に入り、直径2mmほどの卵を粘着糸で海草や海藻に絡ませます。 孵化直後の仔魚は全長7mm程度で、2.5cmあたりまで成長するとだんだんと下あごが突き出してきます。 寿命は2年あたりと考えらています。 淡白な味から、刺身、寿司、澄まし椀だね、天ぷら、干物などに料理され、高級魚として取引をされています。 地域によっては、カンヌキ、クチナガ、スワビ、ハリウオなどと呼ばれています。 サヨリ科の魚は全世界の熱帯・温帯から12属・80種以上が知られ、うち日本には6属・13種が分布。

センニンサヨリ
全長40cmほど。サヨリによく似ているが下顎がやや短いこと、尾びれの切れこみが深く下半分が トビウオと同様に突き出ていること、体の断面が丸っこいことなどで区別されます。 インド洋から太平洋の熱帯域に広く分布し、日本では小笠原諸島、九州、南西諸島に分布。 沖縄ではミズバユーと呼ばれています。
クルメサヨリ
全長20cmほどの小型種で、下顎の先端が赤ではなく黒いのが特徴。中国、朝鮮半島、本州、九州に分布。
ナンヨウサヨリ
全長30cmほど。やや小型で、センニンサヨリとは逆にサヨリより下顎が長い。インド洋・西太平洋の熱帯域に 分布し、日本では西日本の太平洋側に分布。
ホシザヨリ
全長60cmほど。下あごが長く、和名のとおり体側に黒い斑点が数個点在する。インド洋・西太平洋・地中海 東部まで分布し、日本では西日本の太平洋側に分布。
コモチサヨリ
全長15cmほどの小型種で、尾びれには切れこみがなく三角形をしている。ベンガル湾から西太平洋の 熱帯域に分布し、日本では先島諸島分布。
<栄養>
高タンパク、低脂肪のさっぱりとした魚で糖質や脂質、たんぱく質の代謝に不可欠なビタミンナイアシンを多く含み、 血行を良くしたり、脳神経の働きを高め、最近では二日酔いを防ぐ効果も見つかり、アルコール好きには是非もの。 また、亜鉛を豊富で、体の免疫機能を向上する働きがあり、味覚にも関わる舌の味蕾に必要なミネラルです。 そのほか、ビタミンCやカルシウム、マグネシウムなども含まれています。 <見分け方> 目が澄んでいてみずみずしい光沢があるもの、体の中央の黒い模様と腹側の銀色が鮮やかなものほど新鮮です。
<保存法>
とても腐りやすいので、すぐにワタを出し、きれいに洗ってから海水よりは薄めの塩水に浸してから、キッチンのエーパーで 包んでラップをかけて冷蔵庫へ。キッチンペーパーの代わりに昆布を使ってこぶ締めにしても美味しく召し上がれます。

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<ブロッコリー>

地中海沿岸原産の野生のキャベツ(ケールのようなもの)を改良したもので、可食部分は茎とつぼみと葉の一部。
通常は丸い塊状のものが多いのですが、茎が長く伸びて菜の花のようなもの(ブロッコリーニ)、芽が出たばっかりで
発芽したものブロッコリースプラウトが市販されています。
種から発芽したばかりのものがスプラウト、育って株の頭に出来た花芽が塊状(花蕾)のもの、この塊状のものを
収穫した後で茎の横に出てきた花芽がブロッコリーニです。
茎ブロッコリーというものとブロッコリーニは見分けが難しいのですが、茎ブロッコリーは中国野菜のカイランという
キャベツの仲間と、ブロッコリーを交配したもので、代表的な品種には「スティックセニョール」と言われています。
一般的にはブロッコリーは冬の野菜ですが、スティックセニョールは比較的暑さに強いので、真夏でも出回っています。
また、花蕾が紫色の紫ブロッコリーも時々、見かけるようになりました。

日本に上陸したのは明治時代のことですが、一般的に広まり始めたのは1980年代。
抗酸化ビタミンや葉酸、カルシウム、カリウムなどさまざまな栄養素を含んでいます。

<栄養>
ブロッコリーには、抗酸化ビタミンであるβ-カロテン、ビタミンB群、C、Eを多く含み、
カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル、食物繊維も豊富。
中でもビタミンCはgあたりでレモンよりも多く、食べる量からいくとレモンを遥かに上回ります。
また、ビタミンB2は野菜の中でもトップクラス。
これらのビタミンは一緒にとると、それぞれの働きを高めあう性質があります。
微量栄養素のマグネシウムや亜鉛、インシュリンの働きを高めるクロム、発ガン物質を解毒作用を
もつスルフォラファンという成分や、粘膜の修復をするビタミンU、血中コレステロール値を低下させて
善玉コレステロールを増やす葉緑素、造血作用のある葉酸も含まれています。

栄養を生かした食べ方
小房に分けて塩茹でにするなら5切れずつのように少量でゆでて水気を切り、水にさらさずに扇いで冷ますか、
丸のままか数個に大きく分けて、レンジで加熱するか、蒸すかにしましょう。
ビタミンCを効果的に摂取するには、たんぱく質やビタミンE、カルシウムと組み合わせるのがポイント、
また、たんぱく質との組み合わせは抗ストレスや美肌に役立ち、ビタミンEとの組み合わせはがん予防にも
なり、カルシウムとの組み合わせはイライラ解消や骨の強化に役立ちます。

<見分け方>
蕾が密集していて、濃い緑色のものはやわらかくて甘みがあります。蕾が開いたものよりも、小さくすぼんだ
ものの方が良質で、黄色っぽく変色しているものは避けましょう。 根元の切り口に変色がなく、
みずみずしいものが良品です。茎の切り口に空洞があるものは、熟しすぎたもので、味も歯触りもよくありません。

<保存法>
鮮度が落ちやすいので、早めに食べきるのが良いのですが、そのまま保存する場合は、ビニール袋に入れ、
茎を下にして立てて置きましょう。
硬めに塩ゆでして、水気をよく切り、密閉式の袋に入れておけば、冷蔵庫で2〜3日ほど保存でき、
ラップで包むか冷凍用の袋に入れておけば、冷凍庫で1カ月ほど保存できます。

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<マグロ>

温帯から熱帯の海域を回遊しており、日本は世界一のマグロ消費国として世界中から輸入しています。
毎年、10月頃かな? マグロの世界的な会議があり、翌年の輸入量を割り当てられるそうですが、
昨年の会議では昨年の5割り増しで決まったそうで、たくさん出回って助かりますね。
筋肉や骨格が発達した魚のため、からだの比重が海水より大きく、止まると沈んでしまいます。
また、泳ぐことで海水から酸素をとり入れて呼吸をするので、ずっと泳ぎ続けています。
まぐろは1尾あたり体長3m、体重は300〜500kgもあるため、ほぼ「さく取り」されて売られています。
一般的にマグロと呼んでいるのは、クロマグロ(本マグロ)、メバチマグロ、キハダマグロ、ミナミマグロ、
ビンチョウマグロのことで、中でもクロマグロが最高でしょう。


クロマグロ
体長250cm超。本まぐろとも呼ばれることの多い魚類の王様。青森・大間の一本釣りのくろまぐろが有名。
大トロがとれるため、高級な寿司ネタになっています。

メバチマグロ
体長200cm超。国産もの、輸入ものとともにもっとも多いのがメバチマグロ。
国内で消費されるマグロの4割弱を占める。切り身は鮮やかな赤。
刺身以外に、煮物やねぎとろに加工されることも多い。

キハダマグロ
体長180cm超。関東より関西で消費され、関西ではまぐろの王道とされているまぐろ。
桃色の身であっさりした味わい。ツナ缶にも使われている。

ミナミマグロ
体長200cm前後。大トロがとれるため、クロマグロに次いで高級マグロとされています。
大トロは「ミナミマグロ」か「クロマグロ」の2種類からしか取れません。
濃厚なうまみと脂の甘さが楽しめます。

ビンチョウマグロ
体長100cm前後。和名は「ビンナガマグロ」。脂の多い部分は、回転寿しで「ビントロ」と
呼ばれています。
元々はツナ缶に使われ、安価でしたが、寿司ネタとして人気が出て、
スーパーにも刺身として出回るようになりました。
 
<栄養>
すべてのマグロに共通して含まれているのは、高たんぱく質であること、
動脈硬化を予防するEPAや脳の活性化に役立つDHA、最近アルツハイマーにも効果があると
言われているARA(アラキドン酸)が豊富に含まれているほか、
ヒスチジンやアンセリンなどの旨み成分が多いこと、鉄が豊富で、活性酸素の害から守るセレンの
供給源になること、味覚障害に必要な亜鉛を含むこと、
抗酸化ビタミンのひとつ、ビタミンEも多く含んでいることです。
部位的には、赤身は高タンパク、低脂肪でたんぱく質の含有量は魚肉中で、トップクラス。
トロにはDHAやEPA、ARAが豊富で、ビタミンA、Dは赤身の3倍。カロリーが赤身の2倍以上になるという
ことから、高脂肪、高エネルギーです。
血合いには若返りビタミンと言われるビタミンEや鉄、肝機能を強化するタウリンなどが豊富に
含まれています。
また、栄養素の代謝を助けたり、皮膚を正常に保つナイアシンも含まれています。

<見分け方>
マグロは魚体が大きいので、独特の方法で解体(さく取り)し、直方体に切って販売されます。
サク取りした身のことを「サク(柵)」と呼びます。
「サク」の筋目が平行に入っているのが、良質のマグロ。
筋目の感覚が狭いものは、尾に近く、筋っぽいので避けましょう。
全体的に張りとつやのあるものを選び、角が丸く、ドリップ(水分)が出ているものは
鮮度が悪いものです。
「サク」の赤みは鮮やかなものより、落ち着いた赤いものの方が味が良いようです。
ただし、黒い斑点ができているものは、鮮度が落ち、においが出るので要注意。

<保存法>
マグロは「づけ」にするとうまみがアップします。
密閉容器にまぐろの刺身を入れ、しょうゆとみりん(1:1の割合で合わせて)をかけ、
好みでにんにくやしょうがのすりおろしを加えます。冷蔵庫に入れて、1日寝かすと味がなじんで
ご飯によく合う味になります。
アルコールが弱い方は、醤油とみりんを合わせて一度加熱してアルコール分を飛ばしてから
漬ける様にしましょう。
再冷凍は味の劣化が著しくなりますので、なるべく食べきれるサイズで購入して下さい。

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<蛸(タコ)>

大阪のたこ焼きは、昭和の始め頃、肉やこんにゃくを入れて焼いたラジオ焼きが始まりといわれていますが、
中山はタコが大好きだから、たこ焼きも好き! だから、ちょっとうるさいのです、たこ焼きには!
で、その主役たるタコですが、タコは本州以西の各海域に分布し、その品種は30以上。
食用で最も一般的な「マダコ」のほか、ミズダコ、ヤマギタコ、イイダコが代表的な種類ですが、ここにも
韓流ブームがあり、炒め物や生きたまま食べる「ナガタコ」も登場して来ています。
味はどれも一緒か って? ぜ〜んぜん違います。

弥生時代の遺跡から蛸壺が出土されている事から、日本人とタコの関係は古く、
その消費量は何と世界一!
現在、世界で水揚げされるたこの2/3は日本人が食べているといわれています。
メキシコや韓国、イタリア・スペインなど地中海沿岸の国を除き、海外ではほとんど食用にされることはありません。
タコの姿形が問題だったり、共食いをしたり、自分の足を食べたりといった生態から、
「デビルフィッシュ(悪魔の魚)」と呼ばれて忌み嫌われている所もあります。

まだこの持つ独特のうま味と甘味はベタインと呼ばれる成分によるもの。
イカやエビ、カニにも含まれている成分で、生よりも茹でたり焼いたりすることで強くなります。

マダコ
最もポピュラーなタコながら、ミズダコよりも漁獲量が少なく、近年では高価なものとなり、
今年に至ってはなんでこんなにと思うほどの高騰ぶり。
一番流通するのは味わいのせいか6月と9月の2回にお正月用の時。
獲れる時期から、麦わらだこと呼ぶ地域もあります。

ミズダコ
大マダコよりも水分が多いことからこの名がついたといわれています。
大きさは全長3mにもなる世界最大のタコで、国内で水揚げされるタコの大部分を占めています。
茹でてマダコのように食べるよりも、半分凍らせて薄く切ったしゃぶしゃぶやマリネにするのが人気。

イイダコ
小ぶりなので、姿のまんまおでんダネにされているのを見かけます。
価値は卵のあるなしによって決まり、子持ちは稀少なので非常に高価。
子持ちにこだわらなければ秋から冬でも美味です。

ヤナギタコ
地方によっては「アマダコ」とも呼ばれ、主にゆでダコとして流通していることが多いようです。
マダコよりやや風味が落ちるものの、身がやわらかいのが特徴で、たこ焼きに使われているタコは
もしかしたら、このタコです。が、最近では、たこ焼きと言いながら、ほとんどタコが小さくて、何タコか
わからない代物も多いですね^^;

<栄養>
良質のたんぱく質のほか、肝臓の機能を高め、血中コレステロール値や血圧を正常にコントロール
する働きのあるタウリンが豊富。タウリンには視力回復、疲労回復などの効果もあるとことが
わかって来ています。 また、味覚障害を防いだり、血行をよくしたり、インシュリンを活性化する
亜鉛も豊富に含んでおり、脂肪が少ないためにカロリーが低く、肥満傾向の人には嬉しい食材ですが、
消化に時間がかかるので、胃腸の弱い人は食べすぎに注意しましょう。

<見分け方>
生のタコはそばかすのように斑点があり、吸盤が触るとピタ〜と吸い付いてくるものほど新鮮です。
が、なかなか一般的には生のタコを購入する事はないでしょうから、キレイな小豆色をしていて、
ぬめりや粘り気が出ていないものを買い求めます。
吸盤に大小があるものがメス、揃っているものがオスと考えられています。
季節によっては旨みが違いますが、料理法でまったくわからなくなってしまいますから、
お刺身で頂く以外は、コトコトとゆっくりと煮て、硬い筋肉組織をやわらかくして召し上がると良いでしょう。

<保存法>
鮮度が落ちやすいので、購入した日に食べない時は冷凍保存をおススメします。
購入時ほどのぷりぷり感は減ってしまいますが、ぬめりが出て鮮度が悪化するよりは良いでしょう。
また、煮込み料理にして保存しておくという手がもあります。
タコのトマト煮などは有名、味付けにもよりますが、煮込んでおくと約10日ほど保存が出来ますね。
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<かぶ>


原種はアフガニスタンにあった「アジア系」と、地中海沿岸にあった「ヨーロッパ系」に分かれます。
日本にも早くから伝来し、日本書紀」にも記載があるほど古くからある野菜で、古称は菘(すずな)と言い、
「すずしろ」(大根)とともに春の七草の一つとして親しまれ、歌ににも詠まれてきました。

主に東日本にはヨーロッパ種、西日本にはアジア種が多く、その境界線は関ヶ原付近にあり、
「かぶライン」「かぶらライン」と言われています。
日本全国で約80種類もの大きさや色が異なるものが栽培されているかぶですが、一部をご紹介。

あやめ雪かぶ
紫と白の色合いがきれいな小かぶ。ほんのり甘く生で食べるのがおすすめ。特にサラダや酢の物、
漬物にも適しています。

みやま小かぶ
小かぶの中からおいしいものを選抜して固定種として改良された、甘味のある味の良いかぶ。

津軽紅かぶ
根や茎が赤いかぶ。主にお漬物やサラダに使われます。 赤かぶ漬けは有名ですね。

金町小かぶ
東京都葛飾区近辺の特産品ですが、最近では関東全域で栽培されています。

聖護院かぶ
京都市左京区聖護院の特産品。千枚漬けで有名なのはこのかぶを漬けたものですが、最近では
かなり高価になって来てしまいましたね。

日野菜かぶ
大根のように細長い形が特徴的な滋賀県日野町の在来種。
食感はかたく、甘酢漬け、ぬか漬けなどの漬物にされるのですが、酢漬けにすると全体が桜色に仕上がるので、
縁起がよく、日野菜漬けとしても有名ですね。

<栄養>
コラーゲンの合成や抗酸化に働くビタミンCや消化酵素のジアスターゼを含みますが、根は淡色野菜。
根を食べる事が多いかぶですが、むしろ栄養豊富なのは葉のほうで緑と色野菜になります。
βーカロテンをはじめ、ビタミンB2やC、ミネラル、カルシウム、食物繊維などが含まれます。
料理店などでは色よく出すためにした茹でをしますが、茹でると水溶性の栄養が流出してしまいますので、
一般家庭では下茹でなしに料理をした方が良いでしょう。

<見分け方>
表面がなめらかで、傷がなく、大きさの割には重みがあり、凸凹せずに形の良いものを。
葉が青々として、みずみずしいものを選びます。

<保存法>
冬なら乾燥を防ぐために新聞紙で包んで、外気の温度で保存が出来ますが、葉付きで購入した時は
葉を切り離して、葉は冷蔵庫の野菜室で保存するか、茹でて塩をして混ぜご飯用や漬物にしておく方が
栄養価も守れます。
生で食べても甘味があって美味しいものですから、新鮮なかぶが入手出来たら、生かぶりして見て下さい。
かぶの美味しさ再発見です!!

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<はまぐり>

天然のハマグリは有明海、周防灘(大分)、伊勢湾だけで冬〜春にかけてが旬。
国内で流通するハマグリと呼ばれているもののほとんどはチョウセンハマグリで、
茨城県の鹿島灘、宮崎などが主な産地。
2002年のハマグリの漁獲量は約300t、チョウセンハマグリは1,000t程度に対して、
シナハマグリの輸入は2万5000t。
といっても、なんのことやらさっぱりわからないので、ハマグリの種類別特徴を。

ハマグリ−マルスダレガイ科ハマグリ属。昔は東北から九州までの内湾、特に河口付近の浅海に
分布していましたが、水質汚染の影響を受けて、最近では、各地で絶滅・激減してきてしまいました。
2年で4cm。7〜8cmになるのに5〜6年かかり、貝殻の模様は様々で、
細かい網目模様のもの、褐色の縦の帯状のもの、全体が茶っぽい灰色で少し黒が端っこにあるのもの
などがあります。若い貝は海中に粘液の長い帯を出し、 それに引きづられるようにして潮の流れにのって
移動すると言われます。 この粘液移動のために蜃気楼の蜃はハマグリのことだと言われています。
えっ、どこにも蛤っていう字使われてないのに? はい、蟹も浅蜊も蛸にも虫が使われていますね。
漢字が作られた中国では虫のつく字はとっても多くて、海の貝、介類も虫の仲間なのでしょうね、で、
その中でハマグリは粘液でもって自分を大きく見せてしまう事から、蜃気楼の蜃なんですって!

チョウセンハマグリ−外洋性でハマグリより大型。ハマグリに比べて平ら。
チョウセンハマグリと言われながらも日本産で、「地はまぐり」として売られている事もあります。
(ハマグリと交雑した中間種もあります。)
ハマグリと比べてヌルヌル感が少なくやや身が固いのですが、ハマグリ漁獲量が減ってしまったせいで
最近ではチョウセンハマグリも高値で取引されるようになり、乱獲にならないよう漁獲制限付きになりました。
このチョウセンハマグリの殻を乾燥させて作るのが、碁石の白。
昔の人は無駄なく使っていたのですね。

シナハマグリ−韓国、北朝鮮、中国から輸入され、国内で蓄養されて出荷。
丸みがあって、やや茶色がかってツヤが無いのが特徴。
加熱すると身がかなり小さくなるのが欠点ですが、味は良く、手ごろな値段なのが嬉しいですね。

蝶番(ちょうつがい)を外したハマグリの貝殻は、同じ貝の貝殻じゃないとぴったりとくっつかないので、
夫婦愛の象徴として婚礼料理に使われたり、お雛遊びのカルタの殻に使われたり、おひな祭りの
料理に使われたり、ぴったり合うという事から昔の紅や軟膏入れなどに使われていました。

<栄養>
ビタミンB2、鉄、カルシウムが豊富で、血中コレステロール値や血圧の上昇を抑えると
言われているタウリンも豊富。貝の中ではコレステロールが少ないほうで、カロリーも少ないので
生活習慣病に役立てたいものです。
貝類の旨みの特徴であるコハク酸、グルタミン酸、グリシンなどのアミノ酸系の旨み成分を
バランス良く含んでいます。
アサリ、シジミなどと同様にビタミンB1分解酵素のアノイリナーゼを含んでいるため、加熱した方が
栄養学上は良いでしょう。とはいえ、加熱しすぎると旨みが半減してしまいますので、ご注意を。

<見分け方>
殻に光沢があり、ぷっくりと大降りのものが、旨みも十分でハマグリ独特の歯触りを感じられます。
蓋が開いていても、上から叩くと閉じるものが新鮮です。
2つの貝を叩き合わせられるようなら、カチカチと澄んだ音が出るものが良質で、低い音の場合は
死んでいるものが多いのです。1つでも死んだ貝を料理の中に混入すると、すべてがダメになりますので、
砂抜きの時にも要チェックです。
むき身の場合はぷっくりとして、透明感のあるものが良いでしょう。

<保存法>
海水程度の塩水にザルごとハマグリを入れ、砂を抜いた後で塩水を切って新聞紙に包んで
呼吸が出来るようにしておくと2日ほどは日持ちがしますが、それ以上は冷凍保存します。
が、やはり一番は生からの調理。早めに召し上がってください。
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<海苔>

一年中ある海苔ですが、旬は冬から春にかけて刈り取られるで、冬が旬としました。
紅藻・緑藻・藍藻などを含む、食用とする藻類の総称で、分類上は幾つかに分かれていますが、
通常に私達が海苔と呼んでいる板海苔はウップルイノリ、スサビノリで、アオノリ、アオサなどが
一般的でしょうか。
 
古くは奈良時代初期に編纂された『常陸国風土記』や『出雲国風土記』にも登場しているほど、
歴史の古い食べ物で、その昔は海苔が朝廷へ税金として納められていたと『大宝律令』
(701年2月6日に執行)にも記されています。」
因みにですが、これを記念して海苔の日は2月6日と定められているのですよん!
この頃から、日本の文化に海苔が定着したと考えられますが、
同時に加工品(つくだ煮や味付けの海苔など)も作られ始めてそれを売る「もはだな」や
海藻類を売る「にきめだな」という市場が出来ました。

鎌倉時代になると精進料理が完成し始め、日本の伝統料理に海苔が活躍するようになり、
江戸時代にかけて、現在の海苔業界の基盤が出来たといえますが、将軍家へ新鮮な海苔を
献上するために品川・大森を中心とする東京湾で海苔の養殖が始まり、海苔がたくさん出回る
ようになって江戸の特産品となりました。
江戸時代の品川沖は江戸前海苔(品川海苔)の産地で、煎餅に海苔を巻いた「品川巻き」
というお煎餅からもごくごく一般的に使われていたことがわかりますね。

江戸時代中期になると、簀で抄く四角い板海苔が登場。海苔巻きや屋台のすし屋も出来て、
海苔巻きは庶民にも浸透していきました。
が、海苔の養殖技術は勘に頼るだけのかなりの未熟さだったために安定供給が難しく、
運に任せるという意味で「運草」とも呼ばれていました。
それが、昭和24年になって、イギリスで海苔の糸状体が発見されたのを皮切りに生態が解明され、
人工的な養殖が可能になり、海苔の産地じゃない所でも養殖が可能になりました。
 
<栄養>
ビタミン・ミネラルの宝庫。カロテンがビタミンの中でも多く、ミネラルでは骨や歯の強化に
必要なカルシウムとマグネシウムを2:1の理想的な形で含有しています。
また、血中コレステロール値を下げたり、血圧を調整したり、肝臓機能を向上させる作用があると
言われているタウリンをたっぷりと含んでいます。
たんぱく質も多く、100gの含有量は大豆以上で、といっても、海苔100gはたべらんないので、
たんぱく質源とはいえませんが、必須アミノ酸を補うという意味では相当な優れもの。

<見分け方>
黒色が濃くて光沢のあるもの、厚みが均一なもの。袋入りの場合は袋の乾燥剤がカサカサと
音を立てているもの(乾燥剤が粉状になって膨らんでいるものは湿気ています)。
ちなみに、板海苔のつるつるしているほうが表、そうでない方が裏。
乾燥しただけの海苔は焼いてから使いますが、焼き海苔であっても使用前にサッとあぶると
海苔の香りが生きてきます。

<保存法>
缶に入れて、乾燥剤を入れ、しっかりと密閉し、天袋や台所の棚の上の乾燥した冷暗所に
置くようにしまましょう。 ファスナー付きの袋にラップに包んで入れてしっかりと空気を抜き、
冷凍保存が可能です。

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<ししゃも>

シシャモはサケ目キュウリウオ科シシャモ属。北海道の太平洋側にしか生息しない日本固有の魚です。
2年魚を中心に3年、4年魚が産卵のために生まれた川を遡上します。北海道鵡川町の柳葉魚漁は10月初旬に解禁になりますが、魚体が大きくなって、卵もぷっくりと大きくなるのは産卵のために遡上を始める10月下旬あたりから。
市場に出回っているシシャモのうちほとんどが外国からのもので、国内ものはたったの1%。
で、驚いたことに輸入ものはシシャモではなく、カペリン(カラフトシシャモ)と言って、シシャモという名前はついていますが大型で、脂肪が少なく、やわらかい口当たりと香りがなく、骨も硬くって、私達がシシャモに求める上品さがないのです。カペリンはキュウリウオ科ロータス属。
他にもチカやキュウリウオという魚がシシャモという名前で出回っています。
良心的なお店ではシシャモ(カラフトシシャモ)などと記載されていますから、しっかりとパッケージの記載をみる様にしましょうね。
柳の葉の魚と書いてシシャモなのですが、アイヌ語のスス=柳、ハム=葉でススハムが訛ってシシャモとなったとか。
アイヌの伝説に「天の神様の庭の柳の葉が、間違って地上へ落ちた。神様はその葉が醜く朽ちるのを気の毒に思って魂を入れて
魚にした。それがススハムである。魚は秋になると天が恋しくて川を遡るのである」というのと
「川下の人々の貧しい生活を見て、柳の葉をフクロウに持たせて地上によこした。優しく美しい鵡川にその葉を流すと、葉は
魚になった。途中、風で飛んだ魚のいくつかが遊楽部(ゆうらっぷ)川に入ったので、そこにもススハムがいる」と伝えられています。
この伝説はシシャモの生態を表していて、北海道の太平洋沿岸に生息。2年魚になると遊楽部川、鵡川、沙流(さる)川、十勝川
、新釧路川などを遡り、産卵をします。産卵は淡水で小粒の川床にしますが、一腹で7.000粒ほど。昔は遡上してくるシシャモを
バケツですくう事が出来たんですって。
古くから知られているシシャモですが、学会への報告は昭和2年のことです。

<栄養>
本シシャモでも輸入ものでも、カルシウムはめざしの2倍、という事は牛乳の5〜6倍。ミネラルや鉄も多く、老化防止にも関係する
ビタミンAやイライラ緩和、成長を促進すると言われるビタミンB2も多く含まれています。それ以外にも、ジューシーだと思いがちなのは、豊富な脂肪のせい。DHA、EPAなどがたくさん含まれていて、脳の活性化が期待出来、また、血栓や動脈硬化を予防しますから、
子供さん、お年寄りには是非もののお魚です!

見分け方
本シシャモは輸入物に比べてウロコが大きく、口も大きい。まぁ、輸入物と大きく違うのは値段と味。
通常は子持ちのメスが美味しいと言われ、オスの2〜3倍の値段がつきますが、味は雄の方が美味しいと評判で、メスよりも
オスの方が体長はでっかいの。カペリンとの違いは見た目だけでなく、川に遡上せず、海で一生を過ごします。
本シシャモなら全体にアメ色をしていて、オスは背中が黒くないもの。メスは卵がおなかにあるので、おなかがふっくらとしているもの。
輸入ものは銀色に少し青みがあり、透明感があるもの。本ものも輸入ものもどれも、身の張りがあるものを選んで下さいね。

<保存法>
冷蔵庫だと3日、チルドで5日ほどでしょうか。すぐに食べない時はラップに包んで、冷凍庫へ。大体、生じゃないので3ヶ月近く
保存出来ます。

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<ヤマイモ>

一般的に山芋と言っても種類はたくさんあり、山の芋があるから、里に出来る芋を里芋と名づけたとか。日本の山野に古代から自生する自然薯、扁平でイチョウのような形のイチョウ芋、黒くてゴツゴツしたこぶしのようなつくね芋は粘りが一番強く、こん棒のように長くて少々水っぽくて粘りが少ない芋はなが芋(ふふふ、このなが芋は収穫しやすいようにパイプの中で育てられるんですって!。
ここでは代表選手、ヤマイモとして自然薯での説明を。ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草。本州から四国・九州、朝鮮半島、中国に分布する雌雄異株の植物。秋になって、地上部分が枯れる頃が芋の収穫時期。
芋の主成分のでんぷんは加熱が必要なのですが、ヤマイモの仲間達はどれもでんぷん分解酵素(アミラーゼ)を持っているので、生食が出来るのです。因みにアミラーゼは大根よりも多いのです。
自然薯の葉の付け根に出来る小さい芋をむかごと言い、これを植えておくとヤマイモが出来るのですが、このむかごの炊き込みご飯は絶品で、知る人ぞ知る秋の味覚かも。

<栄養>
粘りの正体はムチンで、滋養強壮にも一役。ビタミンB群やC、カリウム、食物繊維が豊富です。一般的にヤマイモは疲労回復、虚弱体質の改善、免疫力がアップすると栄養士じゃなくても知られていますが、これは豊富なでんぷんと糖質、ミラーゼ、ジアスターゼ
という酵素も消化を助ける働きをしますから、ご飯の消化もたすけますし、ネバネバ成分のムチンもでんぷんの消化吸収を助けるという、二重三重の働きがあり、B群の中でもビタミンB6は、でんぷんをアミノ酸に分解して、体の筋肉、骨、内臓、ホルモンなどを合成する時に働く栄養ですから、パワーがついて当たり前でしょうか。

見分け方
形に凸凹や傷がないもの。表皮がなめらかで張りがあり、重量感があるものが良質です。

<保存法>
丸ごとなら新聞紙に包んで冷暗所に、切り口があるならラップをぴったりと貼り付けて野菜室に。当分使う予定がないなら冷凍保存が出来ます。摩り下ろして使い勝手にあわせて小口で保存するのも良いですが、凍ったヤマイモでも以外と簡単に摩り下ろせますから、
手がかゆくならないこと、皮がツルッと剥けることから、私はいつも洗って丸ごと冷凍し、必要な分だけ摩り下ろして使います。(ヤマノイモの美味しい食べ方は丸秘テクニック参照)

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<キノコーシイタケ>

キノコとの関わりは縄文時代からと思われる形跡があり、日本書紀や万葉集にもキノコの記述があるので、
かなり古いと思われます。
自然に生えているキノコを採取していたのが、江戸時代初期にはシイタケが栽培され、
人工栽培が始まりました。
物事の始まりというのは、ちょっとした事故だったり、へんてこりんな偶然があるようで、
このシイタケの栽培も、大分県の豊後地方で、
炭焼きで残った丸太にシイタケが生えているのを発見した炭焼き職人が、人工栽培を思いついたのだそうです。
といっても、シイタケ菌を植えるなどという知識はまだ、解明されていなかったので、切った木に鉈で傷をつけ、
自然に飛んでくるシイタケの胞子をひたすら待つという、なんとも気の長いというか運任せというか。
シイタケが安定栽培されるようになったのは、なんと昭和に入ってから。
キノコの元になる種ごまを木材に直接、植えつける方法が発明され、
最近ではこの原木栽培ではなくて、おがくずなどに栄養剤を混ぜて培地を作って、
そこに菌を植える菌床栽培になったので、天候に左右される事なく安定供給出来るようになりました。

<栄養>
キノコ類の一般的な栄養は食物繊維、ビタミンB類、ビタミンD2、ミネラルなどを豊富に含み、
低カロリーといったところ。
シイタケを比較するとシイタケの食物繊維含有量は約40%で、野菜以上ともいえます。
この食物繊維のおかげで、便通がよくなり、生活習慣病の予防にも効果が期待されています。
食物繊維に含まれるβグルカンは、免疫力を高めるため、様々な健康食品が作られています。
また、ミネラルのカリウムが多いことから、ナトリウムの排泄効果も高まり、高血圧の方は積極的に摂って頂きたいものですね。
キノコ類の多くは、ビタミンDの元になるエルゴステロールを含んでおり、エルゴステロールは日光に当たるとビタミンDに変わります。
通常の干しシイタケのビタミンD含有量は100gで20μg以下ですが、
日光に2時間当てると数十倍に増えます。一度増えたビタミンDはなかなか分解しないので、
冷蔵庫内での保存で、数ヶ月保存が可能になります。
キノコの旨味は種類と量、肉質にもよりますが、多くのキノコはグアニル酸(昆布のグルタミン酸、
カツオ節のイノシン酸と並ぶ、三大旨味成分)のひとつを含み、
グアニル酸はグルタミン酸と混ざると数十倍に旨味が強くなりますが、
温度が高すぎるとエグミが出てきますので、60度〜70度加熱をおススメします。
ビタミンB群は高脂血症のほか、糖尿病や動脈硬化の予防や改善となる働きがわかり、
キノコの人気は下がる気配なし。
シイタケに含まれる特有の成分エリタデニンは血中のコレステロールや中性脂肪を減らしたり、
脳血管性痴呆症を抑制したりと嬉しい効果が期待され、
舞茸のX-フラクションはインスリンを正常に保つため糖尿病の予防と治療効果も期待されています。

見分け方
黒い色のキノコは黒い方が成熟しており、栄養効果も高まります。
水分が多いので腐りやすいため、古くなると水分が表面に出て来てしんなりとしたり、
シイタケは笠の裏側が変色してきてしまいます。
乾燥感のある表面で、しっかりと肉厚のもの、肉質が硬いものが新鮮で、味わいも良いでしょう。
しめじは表面に亀甲模様がしっかりと出て、黒いものが良質です。

<保存法>
冷蔵庫の野菜室で保存し、なるべく早めに召し上がって下さい。シイタケは笠を裏返しにして保存します。
冷凍保存が出来ますので、使う予定がしばらくない時は冷凍庫へ。
石づきを取り除いてから、乾燥させておくことも出来ます。
松茸は少々臭いが落ちますが、大量に購入した時は砂や土を落としてキッチンペーパーで包み、
霧吹きで表面を濡らしてぴったりと松茸に密着させてから、ラップに包んで冷凍しておくと、
お正月のすき焼きが豪華になるでしょう。

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<落花生>

南アメリカ原産のマメ科ナンキンマメ属の1年生草木。匍匐(ほふく)性のものが多いのですが、半立、立性など各地で改良されています。
ピーナッツ、南京豆、唐人豆、地豆、、、と色々に呼ばれる落花生。
種から二葉が出て、やがて花が咲くと受粉した花は落ち、花をつけていた柄がドンドン伸びて小房は地に着き、潜り、地中で発育し、繭型のサヤが出来て、中に種子が出来る。まさしく落花生。
9月〜10月にかけて根ごと掘り起こし、乾燥して加工されます。
主な産地は千葉、神奈川、茨城、栃木、鹿児島、静岡、愛知など。品種は産地によって違いますが、
千葉の八街産は上質とされ、八街ではナカテユタカ、アズマユタカ、テコナ、千葉半立が有名ですが、
千葉半立が一番人気でしょうか。
地方では乾燥機を使っての乾燥が主ですが、千葉では関東の空っ風を使っての乾燥も多く、畑で50日ほど乾燥を続けます。
最近ではゆでて味付けをしたものに人気があるようですね。

<栄養>
主成分は脂質。タンパク質は大豆に及ばないものの、肝臓の働きを助けるメチオニンを含み、
ビタミンB群、E、湿疹や口角炎に有効なナイアシンをなどをバランスよく含んでいます。
脂質にはリノール酸が豊富で、コレステロールを減らし、高血圧あy動脈硬化を予防し、血液の流れを良くし、
手足の冷え性改善などに効果的。ビタミンB群の1つコリン(抗脂肪物質)、サポニン(過酸化脂質の増加を防ぐ)、
レシチン(アルツハイマー型の痴呆症を予防する効果が期待)などを含んでいますので、週に一度は適量を摂取したいものですね。
ピーナッツの薄皮は100g換算にするととんでもない量になってしまいますので、
小声でしかお教え出来ませんが、レスベラトロールという免疫力が活性化する成分が多く、
どうせ食べるなら薄皮のまんまという程度に覚えておいて頂けると多大な期待にならなくて済むのですが、
風邪なども早く治るそうでございます。

見分け方
大きいから美味しいというものではなくて、好みが優先されますね。 殻付きの場合は殻が黒すぎたり、
凹んだりしているものが多く入っているものは粗悪品と言えるかもしれません。薄皮がついているもので選ぶなら、
薄皮に寄れがなく、均一にふっくらとしたふくらみのあるピーナッツが良いでしょう。

<保存法>
乾物の場合は、なるべく早めに召し上がって下さい。湿気た豆類はおなかを壊したりする原因になります。
生のゆでたものは、冷凍保存が出来ますが、冷凍を過信すると酸化が怖いですから、入れっぱはおススメ出来ません。

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今月以前のマル秘テクニック

 

<キス>

キスはスズキ目キス科に属している海水魚。西太平洋とインド様に生息し、日本では各地の陸地に近い海に住み、別名「海の鮎」と呼ばれています。
キスの語源は「潔(きよし)」が訛ったとされていますが、身が透き通ってキレイだから潔なのか、味がとてもタンパクだから潔なのか、、、さて〜?
キスは魚へんに喜ぶと書きますが、産後や病後の回復に最適であると古書に記されていて、快気祝いの料理に多く使われてきたのが、『鱚』という文字の由来になったとか。
キスにはシロギスとアオギスの2種類があり、単純にキスという時はシロギスのことです。
シロギスは北海道以南に分布し、隊長25cm前後。シロギスは淡黄色、アオギスはシロギスに比べて背に青色が入り、シロギスの2倍ほどの大きさに育ちます。

江戸時代中期の俳人、横井也有は「鱚、さよりはおさなき心持ちぞする。大男の髭口にそらして食うべきものとは覚えず」と書き、サンマのように脂がのっている訳でもなく、ブリやカツオのように濃厚な味でもなく、頼りない味わいということでしょうか、そのせいでキスは天ぷらにしたり昆布〆にして味わいを付加する食べ方が多いですね。

キス釣りは昔から人気があり、八十八夜を過ぎたあたりから本格的な漁期になりますが、アオギスは特に警戒心が強いため、浅瀬に脚立を立てて釣る「脚立釣り」という独特の釣り方をします。今ではあまり見かけませんが戦前の江戸前の夏の風物詩となるほど盛んに行われていたようです。

<栄養>
高たんぱくで低脂肪、鉄、カルシウムを豊富に含み、カリウムも含んでいます。タンパク質は体を構成している成分なので、生命維持にはなくてはならないものですが、キスのタンパク質には必須アミノ酸が豊富で、必須アミノ酸  というものは、タンパク質を構成している受け皿的なもの。タンパク質はアミノ酸がないと体に取り込む事が出来ないのです。他にはビタミンD、B12を含み、ビタミンDは骨の形成に必要な栄養素。比較的安価な魚ですから、体つくりのためにも積極的に摂取したいものですね。

見分け方
身がよく締まり、透明感があり、目が澄んで、うろこが残っているほど新鮮です。
内臓が飛び出していたり、トレーに濁ったドリップが出ているものは選ばない方が懸命です。

<保存法>
生のものは頭と内臓を落として腹開きか背開きにして冷凍保存。内臓を抜いて頭をつけたまま焼き、氷温室か冷凍庫で保存し、氷温室なら1週間以内、冷凍庫ですと1ヶ月以内が美味しく頂ける期限でしょうか。
焼いたものはそのまま食べるのではなく、煮物としても使われています。

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<ニラ>

東アジア全般に自生するユリ科ネギ属の多年草。日本には古代に中国から伝わり、9世紀ごろには薬用として栽培されていたという記載があります。久久美良(くくみら)、弥良(みら)、賀美良(かみら)、古美良(こみら)という名前で、例えば、「きはつくの岡のくくみら我摘みど 籠にも満たなふ背なと摘まさね」(きはつくの岡のニラは私が摘んでも籠にいっぱいにならない。あの方とつみなさいの意)という歌が万葉集にあるように、ククミラとは茎がスッと立っているニラのこと。
カミラとは香りのあるニラ、コミラとはラッキョウをオオニラというのに対しての比較。ミラという言葉は元来、美しいものという意味を持っており、緑色のニラのスッとまっすぐ立っている様が美しかったことから付けられた名前のようです。
宮中では、ネギをキと呼び、別名「ひともじ」と言ったのに対して、ニラは「ふたもじ」という言い方をしていたようです。
最近では葉ニラ、黄ニラ、花ニラなどが出回っていますが、ニラは最初は丸い葉で、3葉が出てくる頃から平らになります。葉ニラはこの苗を畑に定植して25cmくらいまで成長させて収穫したもの、生命力が強いので、一度刈られた茎から再び芽が出て来ます。
黄ニラは普通のニラを地上部で刈り取ってから、黒いビニールをかけて遮光し、再生、萌芽する新芽を軟化させたものです。繊維があまり発達していないので、とても柔らかく、香りも程よいので、中華料理でも多用されていますね。
花ニラはニラの花茎が伸びて蕾がついたもので、テンダーポールとも呼ばれます。

<栄養>
βカロテンがたっぷりの、緑黄色野菜の代表格。特有の香りはアリシンで、疲労回復には欠かせないビタミンB1の吸収を高め、消化を助け、食欲を増進させる働きもあります。ビタミンB1、B2、C、E、カルシウム、カリウム、鉄なども多く含み、栄養、価格、利用効果の3拍子揃った優等生的な存在。
ニラを食べると体が温まるといわれるのは、硫化アリルなどの有機化合物が自律神経を刺激してエネルギー代謝を活発にするから働きがあるからで、漢方でニラは古い血を排除し、血液循環を促すとされているほど薬効が高いのです。

見分け方
葉の幅が広く肉厚で、葉先までピンとしており、緑色が濃く、白いブルームがついているものが良品。
葉に水分が浸透しているように見えるもの、黄色くなっているもの、切り口が茶色くなっているものは避けましょう。
葉が太くて硬いものは、いくら良品でも繊維が硬いものがありますから、お好みでお選び下さいね。

<保存法>
ニラはとても腐りやすいのですが、新聞紙で包んでラップで被うか、ラップで包んで冷蔵庫に。冷蔵庫で1週間が限界でしょうか。季節によっては2〜3日で腐り始めてしまいますから、野菜室でも上に他の野菜をのせず、ストレスを少なくしておきましょう。

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<さや隠元>

隠元の内、緑色のサヤごと食べるのがサヤ隠元。種実を完熟させて食べるのが隠元豆です。
原産地はメキシコの南部〜中央アメリカにかけてとされ、紀元前から広く栽培されていましたが、16世紀にヨーロッパを 経て、アジアにも伝わってきました。サヤの利用も古くから行われていましたが、サラダに使われるようになってから、 サヤインゲンとしての品種改良が発達してきました。
日本には、17世紀の中ごろ、黄檗山万福寺(おおばくさんまんぷくじ)の開祖、隠元禅寺が明(みん)から持ち込んだと 言われて、この名がついたとされていますが、実はこの豆はフジマメで、インゲンとは別種という説もあり、どちらが有力という判定はないままですが、隠元和尚の方が分かりやすくていいわね。
サヤインゲンは栽培がとても簡単なので、全国的に作られていますが、福島、沖縄、千葉、茨城、鹿児島、長崎などが 東京の市場の8割方を占めています。
春は沖縄、九州のように暖かい地方から北上していき、旬の夏には福島をメインに出荷され、寒くなってくるとまた、 南下していきます。

<栄養>
ビタミンCやβーカロテン、カルシウム、食物繊維、ビタミンB1、B2が多く、緑黄色野菜として扱われます。
βーカロテンを含むと言う事は、油で調理するか、油を使ったものを一緒に食べるか、ゴマやナッツのように油成分を持っている味付けにすると吸収が上り、効率よく使われるようになりますね。

見分け方
産毛がしっかりとあって、緑色が濃く、先が尖っていて、曲がりの少ない、太過ぎないものが良いでしょう。
ポキッと折れるくらいの新鮮さがあれば、生でも食べられます。
表皮に黒いものがついていたり、豆の部分がゴツゴツと浮き出て来ているものはあまり良質とはいえません。

<保存法>
ポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に入れて保存しますが、なるべく早く食べるようにしましょう。
冷凍保存をする時は固めに茹でて、水に取らずに扇いで冷ましてポリ袋かラップにあまり空気を入れずに並べて冷凍します。

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<スイカ>

中近東から中国を経て、江戸時代はじめに日本に伝来。漢字で書くと西瓜。西から来た瓜ということで、中国名からの借用です。
スイカの原産地はアフリカ大陸の赤道付近とされ、今から4000年前には古代エジプトで栽培されていたようです。
が、この頃、食べられていたのは実ではなくて、種の方。種には脂肪やタンパク質が多く栄養的にもかなりの優れもの。
現代でも中国には種を食べるスイカが栽培されていますが、
実は小さく、甘さがないので、あまり好まれません。
スイカにはこの種を食用にするものと、果肉を食用にするもの、漬物用、飲料用などがあり、
日本で栽培されているのは殆どが果肉を食べるもの。
わずかに奈良漬や瓜漬け用にも栽培されています。
スイカはその90%が水分で、残りは糖質、ビタミン、カルシウムなどの無機質で構成されています。
果物屋さんの店先では、スイカをポンポンと叩いて品選びをしていらっしゃるのを見かけますが、
ポコポコと音がするものは熟しすぎ(棚落ち)、キンキンとしたような金属音になるのが完熟しているものですが、 これって切る時に包丁を指しただけで割れてしまうほど。切り身を買った方が正解だったりもします。 一番美味しいのは一番果のもの。「元成り」ともいい、一番最初にのびてくるツルに出来たものです。 スイカはなぜか、一人より二人以上の方が美味しいみたい、な〜ぜかなぁ。

<栄養>
利尿作用の大きいカリウムがたくさん含まれ、1回に200g食べれば、βーカロテンやビタミンCの供給量として期待出来ます。
尿の出が悪い人やむくみが多い人は「スイカ糖」といって果汁を水あめ状になるまで煮詰めたものを召し上がると良いとされていますが、冷蔵庫で約1年ほど保存が出来ます。
果肉よりも利尿効果が高いといわれている皮は糠漬けや一夜漬けにして召し上がって下さい。
ウリ科のものは体を冷やす効果があるので、暑気あたりやのどの渇きを癒す事も出来るので、夏には欠かせないアイテムです。

見分け方
丸ごと買うなら、ヘタの切り口が新鮮なものを。上記一番果はスイカのヘタとは反対側のお尻の部分でわかります。
お尻の直径が3〜4mmで小さいものは一番果、7〜8mmのものは二番果です。 緑が濃く、黒い縞がくっきりハッキリ出ているものを選びます。
切って売っているものは種の周りの果肉を良く見ましょう。黄色く変色したり、ややねばりのあるようにみえるものが出来ていたら選ばないように。種に密着するようになっているものが良質です。また、種が完熟しているもの(黒くてふくらみがあるもの)を選んでくださいね。

<保存法>
丸ごとのままなら、少し保存が出来ますが、ツルの始まりの部分が茶色くなって来たら、すぐに食べるようにしましょう。
切り売りを買って来たら、翌日までと思って下さい。
美味しく楽しく早めに召し上がってね。

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<とびうお>

英語では「フライングフィッシュ」、フランス語では「ル・ポアゾン・ボラン」、
ドイツ語では「フリーゲンデ・フィッシュ」と、どの国の言葉でも
飛ぶ魚と呼んでいるのは、やはり海面を蹴るようにして空中に飛び出る習性から。
暖海性の魚で、日本では南西諸島から黒潮に乗って、宮崎沖、四国沖をまわって
伊豆七島まで群れて移動します。
長く発達した胸ビレは飛んでいる時には羽のように開き、尾ヒレは上の部分よりも
下の方が大きく長く、水面をキックするときに浮力がつきやすくなっています。
泳ぐスピードはとっても速く、飛び出す時は時速70kmの助走をつけ、滑空速度は
時速30km前後。通常は海面スレスレに飛びますが、中には高さ10m、飛距離
400メートルという記録まであるそうです。
 
その飛翔する姿が飛躍につながり、縁起の良い魚とされ、神饌として使われる事もあり、
とびうおを干したものはお田植え祭などに欠かせないという地方もありますが、
昔の薩摩の人々には「地獄の魚」と呼ばれ、嫌われた時代もあり、天明の飢饉で
やむを得ず食べて、意外な美味しさにそれ以来食べるようになったという説も
残っています。

<栄養>
高たんぱく、低カロリーで、酵素の一種セレンを多く含んでいます。
セレンは抗酸化作用があり、老化を防ぎ、心臓発作、リウマチ、
関節炎などに効果があると言われていますが、マウスベースでのこと、
その効果を得られるほど食べるのは至難の業かもしれません。 が、
どうせ魚を食べるなら、旬でもありますから、とびうおでという考え方で。
カルシウムとマグネシウムがバランスよく含まれて心疾患の予防や骨の強化に役立ち、
鉄の利用も高めて貧血予防になる銅などのミネラル類が豊富です。
また、ビタミンEも含み、セレンと一緒に摂取することで、効力が倍増するそうです。


<見分け方>
体全体にハリがあり、背中の青黒い色が鮮やかでツヤがあり、
銀色のおなかも刀のように光っているものが新鮮。
また、目も黒く澄んでいるものを選びます。

<保存法>
より遠くに飛ぶために、腸が短く、脂質の含有量も1%で酸化しにくく、
鮮度が落ちにくいのですが、買ってきたらなるべく早く食べるようにしましょう。
冷凍する場合は内臓とエラを取ってから、また、一塩をして干して干物にしても
美味しく召し上がれます。

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<ピーマン>

唐辛子の仲間は辛味型、甘味型、中間型とありますが、辛味型の代表はタカノツメ。
甘味型の代表はピーマン、中間型がシシトウです。
中南米原産のトウガラシはコロンブスによって伝えられましたが、
長い年月をかけての改良によって、甘味型、中間型が出来て来ました。
ピーマンの語源はフランス語のピメント。トウガラシを含む総称だったのですが、
いつの間にか甘味型に使われるようになり、アメリカでは加工用の赤ピーマンをさすようになり、
通常のピーマンはスィートペッパー、グリーンペッパーと呼ばれています。
最近ではカラーピーマンも市場に多く出回っていますが、クイーンベル、キングベルなどと
ピーマンが鐘の形にも似ているからでしょうか、呼び名がさまざま付けられています。
 
日本には南蛮貿易を通じて江戸時代初期には渡来しており、「甘味トウガラシ」として
わずかながらの栽培が始まっていました。
本格的に導入されたのは、明治初期になってからで、
アメリカから入ってきたイスパニア種の甘トウガラシが主でした。
以来、栽培は続けられていましたが、現代のように食卓に上り始めたのは昭和30年代あたりから。
食生活の洋風化が進んでからのようです。
主な産地は茨城、高知、宮崎、千葉ですが、冬場は高知や宮崎産。
 
普通のピーマンは花が咲いてから2週間前後の未熟果を収穫したものですが、
そのまま完熟させると赤ピーマンになりますが、これは市場に出ずに、
市場に出ているカラーピーマンは別品種です。
カラーピーマンは緑ピーマンに比べて青臭さがなく、フルーティにも感じられるので、
最近の人気は急上昇。栄養成分も緑よりも優れています。
カラーピーマンは赤、黄、オレンジ、紫、白、茶色、黒などが出回って来ましたが、
ピーマンというよりも「パプリカ」と呼ばれています。

<栄養>
ビタミンCが豊富で、大きいピーマンならレモン1個分に相当するほど。
ピーマンのビタミンCは青菜のビタミンCとは違い、熱に強く、保存による損失が少ないので、
調理にも便利です。ビタミンCの吸収を高めるビタミンPも多く含まれ、
ビタミンCを摂取するには最適の野菜とも言えます。
また、βカロテンは100gあたり600μg以上含まれて緑黄色野菜と言いますが、
ピーマンは100g含有量はそれ以下でも、たくさん食べられる料理法が多いので、
緑黄色野菜扱いになります。食物繊維も多く、100g換算ではセロリより多く含まれます。
カラーピーマンは各色ありますが、緑ピーマンより栄養価は上。
赤ピーマンはカロテンやビタミンCの含有量が緑の倍含まれ、ビタミンEは5倍含まれています。


<見分け方>
色が濃く、肉厚でハリとツヤがあり、へたの切り口が乾いていないもの、
へたがしっかりとみずみずしいものを選びます。
収穫から時間が経つと皺が出来て来ますから、避けるようにしましょう。

<保存法>
ピーマンは水気を嫌いますから、よく拭いてから冷蔵庫の野菜室へ。
比較的日持ちのする野菜ですが、なるべく1週間以内に。
古くなると種が黒くなり可食部分に弾力もなくなり味も劣化しますから、
早めに召し上がって下さい。

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<真鯵>

鯵の種類はマアジ、ムロアジ、シマアジなど20数種類がいますが、水揚げ量の9割はマアジです。
鯵の名前の由来は江戸時代に新井白石が「東雅」という本で、「アジとは味也、その味の美をいうといえり」と記していたことからと言われていますが、この由来、意味不明ですよね? わかります?
で、鯵という字は旧暦の3月から漁期に入るので魚へんに参をつけたという、なんともイージーな文字由来でしたね。
鯵は暖海性の魚なので日本近海を回遊し、東シナ海、朝鮮半島にも分布します。 産卵は4月〜6月にかけて沿岸の浅場で行われ、孵化した稚魚は沖合いの海草の多い岩礁地帯でプランクトンを餌に成長します。
日本列島にはいたる所にアジの産卵場所になる孵化場があるので、各地で季節ごとに大きさの違うアジが漁獲されています。アジ類の殆どの魚には、ゼイゴという硬いウロコが体の側線後方にあり、ゼイゴを逆鱗と書き、プランクトンしか食べないアジが身を守るための鎧のような役割があります。

<栄養>
アジの味覚の最大の特徴は、くせのない旨味にある、旬のアジの脂肪分は約7%、イワシやサンマの17%に比べてかなり少ないのですが、アラニン、グリシン、イノシン酸、グルタミンさんなどの遊離アミノ酸が多く含まれており、刺身、焼く、煮る、揚げるなど、どんな食べ方にも合いますね。青背のほかの魚ほど多くはありませんが、IPA,(EPA)、DHA、アラキドン酸(ARA)が豊富で、コレステロールを下げる働きなどは十分に期待出来ます。良質のタンパク質源でもあり、ビタミンA、B群、E,カリウム、血圧やコレステロール値を下げるタウリンなども含まれています。 新鮮なものを召し上がるのが大前提ですが、抗酸化作用のあるβ-カロテン、ビタミンCやEなどの豊富は緑黄色野菜などと一緒に摂取すると皿に効果的。

見分け方
目によどみがなく、すっきりと澄んでいるもの。白い腹側がつやつやとしふっくりと丸く、噴門から内臓が出ていないもの、青背の魚はうろこが落ちやすいので、ウロコがついているものほど新鮮だといえます。
体にとってとても有益な不飽和脂肪酸(EPA,、DHA、ARA)の弱点は酸化しやすいこと。冷凍庫を過信して保存が長くなると過酸化脂質に代わって老化を促進したりする原因になってしまいます。
早めに召し上がって下さいね。

<保存法>
内臓がついたままですと腐りやすいので、買って来たら内臓とエラだけでも取り除いた方が良いでしょう。
料理方法にもよりますが、内臓を抜くとチルドで1〜2日は保存出来ますが、味はかなり劣化します。
すぐに食べない時は解凍後すぐに調理が出来るような捌き方をしてからの冷凍保存は可能です。

因みに、くさやは保存のために作られたとか? いつも食べているアジと少し違うのは、くさやにはムロアジが使われているからです。

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<茄子>

茄子の原産地はインドで、日本にはビルマ、中国を経て、奈良時代以前に渡来。文献に茄子が登場してくるのは750年、正倉院の記録が最初。茄子はその頃には既に食用にされており、1200年以上の栽培歴があり、最も早くから日本に定着した野菜のひとつです。
「秋茄子は嫁に食わすな」 と言われますが、理由は様々、
 1.美味しいナスは嫁に食べさせたくないという意地悪な姑根性
 2.ナスは体を冷やすので、食べ過ぎて腹痛を起こさないようにという配慮
 3.秋茄子には種が少ないので、子種が絶えないようにという縁起をかついでのこと、、、
さぁて、どれが本当でしょう?
ナスは土壌を選ばず、病気になりにくく、栽培が簡単という事からも各地で栽培され、その地方にあった品種が改良されてきました。
江戸時代の文献には紫、白、青の3種類が記述されていますが、現在は黒紫が殆ど。一般的に出回っているのは「千両」に代表される卵形のナスですが、山形県庄内地方の特産「民田(みんでん)ナス」は別名一口ナスと言われる小形の丸ナス、辛子漬けにされています。京都では「加茂ナス」が中形の丸ナスで、一般的には田楽が炒めものに使いますが、最近は生産が減っているために米ナスというブラックビューティに変わろうとしています。
他にも「博多長ナス」は身が柔らかく、皮が硬いのですが、同じ名がナスでも「仙台長ナス」は朝鮮の役で伊達政宗が九州から持ち帰ったものが仙台で馴化したものですが、長さが10cm程度になり、皮が柔らかいので、お漬物にも使う事が出来ます。

<栄養>
殆どが水分で栄養はあまりありませんが、皮に含まれるアントシアニンを有効に摂る料理法が良いでしょう。
とはいえ、ナス料理といえば、焼きナス。真っ黒に焼いたナスの皮をむくとトロンとした甘味のあるナスが味わえ皮の栄養と天秤にかけると焼きナスになってしまうのでしょうか。油との相性がとてもよく、吸いすぎてしまうのが難点ですが、油の量を減らして調理すると焼きナス同様にトロンとした果肉になりますので、田楽味噌だけじゃなく中華調味料の甜麺醤、コチュジャンなどで味付けをされても美味しく栄養を摂取出来、これらの調味料は発酵食品ですので、ナスの栄養は少なくても一緒に食べる食材に栄養のあるもの、倍増効果のある発酵食品を組み合わせるのも賢い栄養摂取方法かもしれません。

見分け方
ヘタ(ガク)が黒光りして、トゲがあるものはとても新鮮です。古くなるとこのトゲの先端が柔らかくなって、痛みを感じなくなります。また、ナス全体がいわゆるナス紺で、色の薄いものよりも濃いものが良質です。

<保存法>
ポリ袋に入れて冷暗所に置くのが良いのですが、マンションのように気密性の高い住居では常温で2日ほど、野菜室に入れて1週間以内が良いでしょう。切ったときに種が黒いものは古くなっている証拠です。
ナスは冷やしすぎると低温障害を起こしますので、冷蔵庫に入れていても早めに召し上がるのをおススメします。

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<筍(たけのこ)>

タケノコは漢字で「竹の子」、「筍」、「笋」、「筠」などと書きますが、筍という字は「旬内にたけのこなり、旬外に竹となる」ということから作られた表記です。
旬は10日を意味しますから、10日を過ぎてしまうと竹になってしまうということで、という事は、掘るタイミングをずらしてしまうと美味しくない。
子どもの頃、山に囲まれた村に住んでいた私は、タケノコ堀りは得意でした。
夜が明けたら山に行き、朝露のある内に土からタケノコの先端が出るちょっと前の、土が盛り上がったところを土と共に掘り取ると柔らかくて美味しいタケノコが味わえます。
世界中でタケノコを食用にしているのは日本と中国くらいでしょうか。
そういえば、昨年、ペルーのバレーボール選手に肉まんをお教えした時に選手達はタケノコを見て形に驚き、直訳で「バンブー チルド」と言うと、バンブー?手で背が高いと表現しながら、バンブー? チルド〜?と、驚いていましたっけ。
と、と、と、脱線!!
日本で食用にしているタケノコは大半が孟宗竹(モウソウダケ、モウソウチク)の若い茎ですが、中国華南地方原産のモウソウチクが日本に入って来たのは17〜18世紀のこと。
ただ、それ以前に日本には独特の竹文化があり、マダケやハチクの若い茎が出来ると食用にされていましたし、成長した竹も竹細工や筆、楽器など 様々な分野で活用され、生活の一部となっていました。

モウソウチクの名前の由来は、病気の母に食べさせるため、真冬の竹やぶに入って一所懸命タケノコを探したという中国の親孝行な息子『孟宗』の名前に因んでつけられたといわれていますが、なぜか、中国では孟宗竹を地名で「江南竹」と呼んでいます。
モウソウチクの日本伝来には諸説ありますが、1736年、薩摩の島津家の吉貴公が中国から琉球に渡来してきた竹の2株を持ち帰って広めたという説が有力で、他には、1600年代に京都の宇治の黄檗山(おうばくさん)万福寺の管長が中国を訪れた時に持ち帰ったものが各地に移植されたいう説もあります。
どちらの説にして、渡来後100年〜150年のうちに、北海道の松前や函館を北限として全国に広がったのですが、まさしく破竹の勢いというのでしょうか、繁殖力の強さには驚きます。

<栄養>
カルシウムやビタミンB12 、B2 ,C、Eなどを含んではいますが、栄養的に優れている量とは言えません。
但し、食物繊維は豊富で、便秘の解消、大腸がん予防、コレステロールの吸収阻止などには役立ちます。
また、カロリーが低く、尿の排泄に役立つカリウムが豊富、高血圧の方には嬉しい食材です。
また、人間でいえば母乳にあたる成長促進物質も含まれており、水煮たけのこを割った時に見られる白い塊(チロシン=アミノ酸)は捨てないように使いましょう。
たけのこのえぐみの元はシュウ酸とホモゲンチジン酸。

見分け方
たけのこの先端の芽の部分が緑色に変色しているものは太陽を浴びてしまっているので、えぐみが強いものが多く、また、皮から出ている下の赤いイボイボが硬く大きくなっていたり、切り口が乾いている、繊維がゴツゴツとしているものは成長しすぎで食感も悪く、味も甘味が少なくなっています。
太く、短くずんぐりして、皮はビロードのように柔らかく細かい産毛に覆われているものが良質です。

<保存法>
掘ってから時間が経てば経つほどえぐみが出てきますので、すぐに食べないとしても、ゆでてエグミを取り、ポリ袋に水と共に入れて、空気を抜いて口を絞って冷蔵庫で保存しましょう。

下ごしらえ
桜甫の丸秘テクニック たけのこの下ごしらえ・調理法 参照

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<鰊(にしん)>

春先に北海道に来るので春告魚と呼ばれています。
ニシンの名前の由来には諸説あり、「寒さ厳しい北の大地の人々が生きていけるのは、この魚のお陰で、その恩は二親(両親)と同じ」という事から名づけられたという説、「ニシンの子の数は他の魚の群を抜いており、その数の子の親は、普通の親以上であることから二親と呼ばれた」という説、身欠きにしんを作る時に身を縦2つに裂いて作ることから「二身」とつけられたという、、、う〜ん、やはり最初の説が有力でしょうか?

ニシンは慣例域の外洋を群れをなして回遊し、3〜5月の産卵期に入ると一斉に岸に寄って来ます。
春、北海道の東岸、厚岸(あっけし)の海で生まれたニシンは育つにつれて南に移動し、千島の間を抜けて北陸の東沖合まで進みます。
そこからは、また、向きを変えて北上し、再び千島の間を抜けて生地の北海道厚岸に戻り、そこで回遊したあと、宗谷海峡を抜けて北海道の西側に出て一生を終えます。
この間、7〜8年、、、ニシンの寿命でもあります。

産卵のために接岸してくるニシンを春ニシン、別名走りニシンとも呼び、昔は足の踏み場もないほどに押し寄せて来て、網元が隆盛を誇り、ニシン御殿と呼ばれる贅沢な建物を次々と作りました。
中でも、青山家のニシン御殿は一番の豪邸を評されています。
余談ですが、青山家は元々は山形酒田市出身で、当時の酒田市は本間様、「本間様にはなれないけれど、せめてなりたや殿様に」と言うわけで、ニシンで年間売上が、今の時代に換算する25億円以上あった青山家。
本間様の以上のものをと、娘が設計し、対象7年から5年もかけて作られました。
その形はやはり女性建築家らしいデザインで美術的にも評価されています。

で、ニシンに戻りましょう。
そんなこんなで昭和初期まではニシンが大漁でしたが、昭和30年頃からぷっつりと姿を見せなくなってしまいました。
原因は乱獲のせいとか、暖流のために冷水魚であるニシンが遠ざかり、また、ニシンの卵を食べるホッケやスケトウダラが増えたためとか、諸説あります。
現在ではニシン市場全体の80%が輸入ものになってしまいました。

<栄養>
脂がたっぷりのった旬のニシンには、タンパク質、ビタミンB6 、B12、鉄など血液の材料となるヘモグロビンを作る成分が豊富で、肌の潤いを保つなどの働きがあるビタミンAやD、骨を丈夫にするカルシウムなども含まれています。
ニシンの内臓を取り出して二枚におろし、1ヶ月以上天日乾燥させた身欠きにしんは生よりも水分が減ったこともあり、タンパク質、脂質、アミノ酸類、ビタミン類が増加します。

見分け方
ウロコがたくさんついていて、魚の表面に光沢とハリがあり、腹側が銀色に光っているもの、おなかの所の噴門から何も出ていないものが新鮮です。
身欠きにしんはよく見て、カビやおなか側が黄色く変色しているものは避けましょう。

<保存法>
青背の魚は傷みがとても早く、高度不飽和脂肪酸を多く含んでいるため、脂焼けしやすく、内臓を抜いてチルドルームで保存してもその日か翌日は召し上がって下さい。
内臓やエラを取ってすぐに冷凍保存も可能ですが、脂は凍りませんから、脂の酸化はゆっくりですが進みます。
なるべく早く召し上がるようにして下さいね。

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<鰯(いわし)>

イワシと言えば、秋が旬の片口イワシと春が旬のマイワシ。
漁獲される大半のイワシはハマチやタイの養殖の餌や肥料にされてしまうせいでしょうか、イワシの語源はたくさん獲れて腐りやすい卑しい魚の「いやし」が転じたとか、腐りやすい「弱し」が転じたとも言われています。
イワシはたくさんの種類が水揚げされていますが、代表的なのはマイワシ、片口イワシ、ウルメイワシの3種類。
マイワシはイワシの漁獲量の1/3を占め、体調が20cm〜25cm、体の両脇に7つの黒い斑点が列になっています。
その斑点のために「7つ星」とも言われています。
大きな目に透明な膜(脂瞼)が被っていて、目がうるんでいるように見えるウルメイワシはマイワシよりも体調が大きくて30cmくらいに成長します。
上あごが下あごを包み込むようにのびているために片口イワシとついた片口イワシは、背が黒いので「セグロイワシ」とも呼ばれています。
イワシは暖流にのって冬は日本の南、夏には日本の北を大群をなして回遊、クジラやサメ、カツオ、サバなどの餌となってしまう事が多いのですが、鮭は一腹に3500粒の卵を持つのに対してイワシは約5万粒を持ち、種族が耐えないようになっているようです。
イワシは縄文時代に貝塚から骨が見つかるほど、太古の昔から食べられていたのですが、脂の多い魚は下賤な魚として考えられていたようで、その昔、紫式部はイワシが大好きだったのですが、下賤な食べ物とされていたので、夫の左衛門権佐宣孝にも内緒で食べていました。
ある日、夫の留守中にこっそりと焼いていたら、夫が急に帰宅して見つけて「かように卑しき魚を」という小言に『日の本に 流行らせ給ふ岩清水 まいらぬ人も あらじとぞ思ふ』才女らしく詠んで返したと、和訓栞にあります。
節分にヒイラギにイワシを刺して門口に立てる慣わしは、平安時代の頃から、季節の変わり目の節分には嗅鼻という鬼が鬼門から侵入してきて災難をもたらすという伝聞があり、その魔よけにヒイラギのトゲとイワシの強い臭いが鬼の進入を防ぐといい、これが「イワシの頭も信心から」ということわざの由来となったとされています。

<栄養>
良質のタンパク質、脂質、カルシウムをはじめとするミネラル、ビタミン類が豊富で、特にその脂質には血中コレステロール値を下げ、血液を固まりにくくすることで血栓や梗塞を防ぐ不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸=IPAイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ARA(アラキドン酸)がたっぷりと含まれています。中でもDHA、ARAは脳を活性化する働きもあるので、学習能力の向上や老人性認知症の予防にも役立つとされています。
その他にも、脳の中で神経伝達物質の原料になるチロシン、血圧やコレステロール値を下げるタウリン、アンチエイジングになる核酸など、現代病に必要な栄養素がたくさん含まれています。
また、これら特に注目される脂肪酸は酸化しやすいので、抗酸化ビタミンβーカロテン、ビタミンC、Eを多く含む緑黄色野菜や生姜、ニンニクなどと組み合わせて摂取すると効果的でしょう。
生姜、ニンニクはその栄養素だけでなく、臭い消しにもなりますから、たっぷりと使いましょう!

見分け方
うろこがしっかり付いているものほど新鮮です。
目がイキイキと輝くほどのつややかさを持って澄み、身がプリッとハリがあり、特徴の七星がくっきりと浮かんで見えているもの。
トレーに入っているものだと、トレーに血や水分が流れ出ていないものを選ぶようにしましょう。

<保存法>
その日の内に使わない時は内臓を抜いて、チルドか冷凍庫で保存可能ですが、イワシは弱しを語源とするほど腐りやすい魚なので、買って来たらすぐに内臓を取り、使う料理によっての下ごしらえをしておくと、臭みが全体にまわりにくく、美味しく召し上がれます。

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<ワカメ>

海草は古くは海の布という意味から「布(め)」と総称されてきました。
中でもワカメは奈良から平安時代にかけて、和海藻(にぎめ)と呼ばれ、「延喜式」(927年)によると地方の国々の貢献品だったとか。
また、ワカメは「若女」「若芽」に通じることから、古くから若返りの薬と考えられ、縁起物や神様へのお供え物として欠くことの出来ないものとなっていました。
ワカメはコンブ科の海草で、暖流の影響のある北海道の西側から九州までの日本沿岸に広く分布しています。外海に面した岩礁に根を張り、1〜2mの高さになります。
ワカメは春から初夏にかけて成長しますが、潮流の流れが激しいほど上質のワカメになるといわれており、鳴門海峡の鳴門ワカメ、三陸海岸の南部ワカメ、出雲地方の出雲ワカメが有名です。
ワカメは1万年前の貝塚から出土してくることから、古代人はすでに食用にしており、ワカメは神事にも欠かせないもので各地の神社にワカメに関する神事が伝えられています。
昭和30年頃から養殖されるようになりました。

<栄養>
各種ミネラル、ビタミン類が含まれていて、ぬめり成分は食物繊維のアルギン酸で血中コレステロール値や血圧を下げたり、血糖値を安定させる作用があります。
カルシウムを有効に摂取するには、タンパク質やマグネシウム、クエン酸、ビタミンDなどと組み合わせると効果的。
塩蔵ワカメは戻してから使いますが、アルギン酸は水溶性のため、長く水で戻さないほうが良いでしょう。

見分け方
肉厚のものを好む方もいれば、薄いほうが柔らかくて良いという方もあり、好みは様々ですが、塩蔵ワカメなら色が黒い方が良質です。乾燥ワカメには乾燥だけさせたもの、灰干しなどがありますが、薄葉のものが多いようです。
加工日の新しいもの選びましょう。

<保存法>
ワカメは獲れたてで店頭に並ぶ事はあまりなく、市販品の殆どは日持ちをよくするための処理がなされています。
干しワカメは塩水で洗って干したもの、塩蔵ワカメは脱水してから塩蔵したもの、生ワカメは湯通しをして冷却したものです。
干しワカメは缶に入れて直射日光の当たらない風通しの良い所に、塩蔵ワカメは冷暗所または冷蔵庫、生ワカメは冷蔵庫での保存に。

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<鰈>

一般的なカレイは冬が旬ですが、三陸海岸のメイタガレイは春が旬。
目の近くに1本鋭い棘があり、目に触れようとすると棘に当たって痛いので、メイタと名前がついたと言います。
また、カレイの中でも通ごのみと言われるのが大分日出の「城下ガレイ」と呼ばれるマコガレイ。
国東半島の別府湾に面した城下町の日出の海は海底から真水が湧き出し、その真水が海の塩加減を微妙に変化させ、また、餌も豊富なので味が格段によくなるようです。
日出町が城下町なのでついた城下(しろした)ガレイ、旬は春〜夏にかけてです。
おなかを下に置いて右に目があるのをカレイ、左にあるのがヒラメ と一般的には言われていますが、カレイの種類の中には左に目があるものもあるそうです。

カレイやヒラメの目は稚魚の時は左右1対についていて、背を上に腹を下にして普通の魚と同じように泳いでいます。
やがて生育して海の底で生活するようになると目が寄って来て、カレイの目は孵化して2〜3週間後、体調で4mm頃から移動し始め、1cmになると頭のてっぺん、13mmくらいになると、しっかりと目は右側に移ってしまうらしいのです。
また、カレイ、ヒラメは保護色魚なので、体の色を周囲に合わせて身を守ります。

カレイの名前の由来は諸説ありますが、貝原益軒は「大和本草」の中で、「この魚背黒く腹白くして魚の半片の如し、カタワレイオという意にて略してカレイと名づく」と記しているのが一番有力な説。他には、中国や朝鮮半島に多く生息する魚のエイににているため、韓驔(からえい)と呼ばれたのが訛ったという説もあります。
鰈という字は中国になく、カレイの姿が木の葉に似ているところから作られた国産漢字です。

寒帯から温帯にかけて世界中に分布するカレイですが、日本近海で東北から北の海域に多く、マコガレイ、インドカレイ、ヤナギカレイなどが水揚げされています。
乱獲がたたって、最近ではやや高級魚に近い値段になってしまいました。スーパーでカレイの煮付けようにパックで売っている冷凍カレイの殆どはオヒョウです。オヒョウはカレイ科の中でもっとも大きくなる魚で2m以上のなることもあります。

<栄養>
脂肪分が少ない上に、旨味成分のアミノ酸はたくさん含まれています。
ビタミンB群、血圧や血中コレステロール値のコントロールに役立つタウリンも多く、“えんがわ”や骨にはコラーゲンがたくさん含まれており、子持ちカレイにはビタミンAも含まれます。

見分け方
表側の斑点が鮮やかで。裏側の白く濁りやうっ血のないものが新鮮です。
また、1尾まるごとの状態で購入する時はエラの色が鮮紅色をしているか、身が厚いかも大切なポイントです。

<保存法>
購入したその日に料理するのが原則。冷凍の切り身で売られているものも、その日の内に調理して下さい。 焼いたり煮たりしたものは1週間程度の保存が出来ます。 新鮮なカレイの場合は内臓を抜いて、冷凍保存が出来ます。

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<玉葱>

タマネギの野生種はまだ見つかっていないので完全な特定はされていませんが、中央アジアとするのが有力で、紀元前3000年頃にはエジプトに伝わり、ニンニク、大根とともにピラミッド建設に携わった労働者の食料として栽培もされていました。
14世紀にロンドンで疫病が流行ったとき、タマネギとニンニクを売っていたお店では伝染を免れたといわれ、タマネギ、ニンニクの刺激臭に霊力があると信じられていた頃がありました。16世紀になってヨーロッパに普及し、他のネギ科の野菜同様に単に食べるだけではなく、薬効が期待される薬として食べられていました。
ブルガリアでは長寿食として、フランスでは頭痛の鎮痛剤、利尿剤としてなど、民間薬的な利用法も伝わりました。

中央アジアを原産地とする野菜は、西に東に伝わるのが普通ですが、タマネギは東にはなかなか伝わらず、ようやく中国に入ったのは19世紀になってから。そのために中国の伝統的な料理にはタマネギが使われていないのです。 日本には江戸時代の初期に南蛮船によりもたらされましたが、本格的に定着・普及するのは明治初期、アメリカから種子を仕入れて大阪周辺と札幌近郊で栽培が始まってからのこと。日本ではタマネギがあっという間に定着し、その後の100年の間に有数のタマネギ生産国、消費国となりました。
今では北はスウェーデン、フィンランド、カナダ、南はアフリカ、南アメリカ、インドネシア、ニュージーランド、オーストラリアにいたるまで、世界各国で栽培されるようになっています。

タマネギは一年を通じて出回っていますが、本来の収穫は年1回。
主に北海道で栽培されている春に種を撒いて秋に収穫するものと、その他の地域での秋に種まきをして春先から夏にかけて収穫するものに分かれます。
タマネギは日の短い時に葉を伸ばして成長し、日が長くなると地表に近い部分が膨らんで来て結球し、球の部分の成長が終わると茎や葉の部分が枯れてきます。タマネギの外皮とその内側の何枚かの鱗葉は茎葉部分とつながっていたもので、さらにその内側の芯に近い部分は葉とはつながらないもの、その鱗葉に守られて小さな芽と球のお尻につながる茎があり、この茎は他のものとは違って、押しつぶしたような形をしているので、茎盤といいます。
タマネギが結球するためには、ある一定以上の日照時間が決まっていて、北海道の夏は日照時間が長いので、北海道で栽培される品種は16時間以上の日照を必要とする長日性品種、南に行くほど比較的短い日照でも成長肥大する品種になっています。 球の肥大は外側から始まり、最後に小さな芽が出来て成長が止まり、タマネギは休眠に入ります。タマネギが長期間保存出来るのは、この休眠という特性によるもので、休眠時間は約1ヶ月続き、活動が再開されて芽が出るまでにはさらに1ヶ月ほどかかるため、温度と湿度を調整すれば休眠期間をもっと延ばす事が出来ます。
0〜2度の低温か、30〜35度の高温の時が一番芽や根の成長を抑える事が出来ます。
北海道の貯蔵タマネギや内地の吊りタマネギ、冷蔵タマネギはこうして貯蔵期間を調整したものです。この休眠性があることと、日本列島は南北に長いために栽培時間がずれるので、一年中出回っているのです。

タマネギは辛タマネギと甘タマネギに大別されますが、日本で最も多く流通しているのは、黄色種の辛タマネギ。
扁平な形をした白色種の甘タマネギ、サラダに使われる紫色種があります。白色種は長期保存が出来ませんが、紫色種は長期保存が可能です。

<栄養>
タマネギと言えば涙。この涙の原因を作っているのが揮発性の催涙物質。この催涙物質から作られるイオウ化合物のアリシン(硫化アリルの一種)には、ビタミンB1の吸収を高めて新陳代謝を促進する働きや、胃の消化液の分泌を活発にして食欲増進させる働き、発刊作用などがあり、最近では血液をサラサラにして血栓を予防したり、コレステロール値や中性脂肪値、血糖値をコントロールする働きがあることがわかってきました。ビタミン、ミネラルなどの含有量はそれほどではありませんが、このアリシンのおかげで最も注目される健康野菜といえます。
疲れがたまっていたり、夏バテぎみの時にはビタミンB1の豊富なレバー、豚肉、うなぎ、鰹、大豆製品などと組み合わせるとビタミンB1の吸収率が上ります。因みに、涙を出さずに済む一番の方法は、良く切れる包丁で切ること!
イオウ化合物は水に溶けやすいので、サラダなど生食をする時に切ってすぐに水にさらすと水に溶け出してしまいますのでご注意を。また、イオン化合物は切ってしばらくしてから出てきますので、切ってすぐに炒めるのも避けたいものです。血液サラサラ効果を狙うには、切ったあと空気中に15分放置してからの方が良いようです。
茶色い外皮の茶色い色素はケルセチンと言って、ポリフェノールの一種。ケルセチンは血液をサラサラにする効果に加え、コレステロール値や血圧を下げたりする働きがあることがわかってきました。
漢方では、薄皮10gを600ccの水で半量になるまで煎じたものを1日3回に分けて空腹時に飲むと良いようです。

見分け方
表面の皮がよく乾燥していて、ツヤが良いものが良品。押してみてフカっとした感じするものは中が腐っている可能性が高く、芽が出ているものや、カビのあるものは避けましょう。

<保存法>
湿気が多いとすぐに芽や根が伸びてしまうので、風通しが良い日陰やみかんが入っていたネットやストッキングなどに入れてつるして置くと長持ちします。冷蔵庫に入れている方がいらっしゃるようですが、冷蔵庫での保存は切れ目を入れてしまったタマネギの切り口をしっかりとラップで遮断したものだけに。

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<鱈>

日本近海では、マダラとスケトウダラの2種類がよく知られていますが、マダラは体一面に斑点があり、斑に見えるので、マダラと呼ばれるようになったとか。
一方、スケトウダラの呼び名は北海道で助惣という漁師が獲っていたから「助惣鱈」と書くようになったという説や、加工船の装備が発達しなかった頃は漁に人手のいる魚だったので、「助っ人鱈」と書いたのが語源とか、佐渡の近海で獲れるものが極上品だから、佐渡鱈(すけとだら)と言われたのが語源とか諸説ある中で紛らわしいので、昭和46年にスケトウダラと呼び名が統一されました。
タラは大口魚とも書き、口が大きい魚というだけでなく、矢鱈と食べると当てられるように大食漢で、魚だけじゃなく、エビや貝、カニ、イカ、タコなど手当たり次第に食べる=出鱈目 なんです。
研究者によるとあまりに食べ過ぎるために、胃潰瘍になっていた鱈がいたというほどで、大きな魚でも胃の中に折りたたんで収めているそうです。 が、しかし、こんなに食べるのに、皮下脂肪が増えるのではなく体長が50%ずつ大きくなり、普通の魚は産卵するようになると成長が止まるのですが、鱈は産卵後も体重が増え続け、20kgを超える鱈も収穫された事があるのです。
鱈は13〜14年生き、魚の中では長生きの部類、鮭や鱒が一生のうちに1回だけ産卵するのに比べ、鱈は一生で10回近く産卵をします。
江戸時代には、鱈のその生命力と切ってもあまり血が出ないことから、武士に好まれ、縁起物として献上品にもなっていました。
鱈の水揚げは昭和10年を境にして減少していますが、それでも年間100万トン前後の漁獲量になっています。
最近の水揚げは殆どがスケトウダラで、マダラに比べて大味でいまいち感が強いのですが、スケトウダラの多くは蒲鉾やちくわの原料にもなっています。

<栄養>
タラの肝臓は肝油の原料になるほど、ビタミンAとDが豊富に含まれ、昔から夜盲症や結核などの薬としても珍重されてきました。
卵巣はビタミンB2が多く、栄養価の高いもの。
通常のたらこは、スケトウダラの卵で、マダラの卵巣は表面が黒く、卵もスケトウダラの数倍の大きさ。
身は高タンパク、低脂肪、低カロリーの代表的な魚で、白身魚の中では安価な部類。
コレステロール値低下に役立つタウリン、肝機能や老化防止に役立つグルタチオンなども含まれています。
料理としてはタラちりがポピュラーですが、タラと豆腐の組み合わせは最高の組み合わせ。
ビタミンB群、ミネラル類もたっぷり摂取出来ます。

見分け方
切り身で売られているのが一般的。
スケトウダラは塩漬けにして冷凍のものの方が多いようですが、皮に皺がなく、ふっくらとしているもの。身が白いものを。黄変しているものは避けましょう。
マダラの場合は、透明感のあるものが新鮮です。
切り身のトレイにドリップが出ていないものを選びましょう。

<保存法>
タラはイノシン酸の分解が早く、時間の経過と共に特有の臭みが発生します。
購入したその日に食べない時は、ぴったりとラップをして冷凍保存が良いでしょう。
塩漬けのタラは通常は冷蔵庫で3日ほど保存出来ますが、最近では塩分が薄くなっているので、なるべく早く召し上がって下さいね。

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<みかん 密柑>

今ではみかんと言えば、温州みかんですが、江戸時代までは紀州みかんが代表格でした。
古来から、日本に自生していたタチバナや柚子はみかんとは別格の柑橘類で、生食にはなりませんでした。
温州みかんは奈良時代、唐に留学していた僧侶が持ち帰った種子を、遣唐使派遣の基地だった鹿児島県の長島に撒いた時のものとされています。
熊本八代に伝わり、成長した品種が江戸時代はじめに紀州藩に移植され、その後、全国的に広まり、紀州みかんと呼ばれるようになりました。
  紀州みかんは藩主によって奨励され、有田地方は一大産地となり、大阪、京都と普及し、江戸にも出荷されるようになりました。
元禄時代に紀伊国屋文左衛門が江戸の祭りのために嵐の中を運搬し、大もうけした話は有名ですね。
明治に入って、鹿児島、大分、長崎なども紀州みかんの産地となりましたが、温州みかんは種がないために「世継ぎがいなければお家断絶という封建時代には嫌われ、なかなか全国に広まりませんでしたが、明治、大正の頃になると、皮がむきやすく栽培が紀州みかんに比べて簡単であることなどが優位となり、追い抜いてしまいました。

<栄養>
ビタミンCが多く、β-カロテン、ビタミンB群、カリウム、コレステロール値を下げるのに役立つ水溶性食物繊維ペクチン、毛細血管や粘膜の強化やビタミンCの吸収に役立つビタミンP、疲労回復や血行促進効果のあるクエン酸なども豊富に含まれています。
オレンジ色の色素の一種β-クリプトキサンチンに発ガン抑制効果があることも発見、研究されています。
ビタミンP(ヘスペリジン)や食物繊維は薄皮やワタに含まれていますので、なるべく袋ごと食べるようにしましょう。
無農薬で栽培されたものやよく洗ったものは、外皮も一緒に食べますと芳香成分のテルペンがストレス解消や神経の興奮を鎮める自律神経の調整機能も摂取出来ます。
また、みかんの皮を干したものを陳皮(チンピ)と言い、七味唐辛子の中に入っているほど薬効のあるものです。

見分け方
皮の表面にツヤがあり、キメが細かく、色が全体に濃くつき、実との間に空間がなく張り付いた感じのもので、少々べたついている程度が甘味が強いようです。
産地ではお尻のくぼみが深いほど甘いといわれていますが、ちょっと試してみてくださいな。

<保存法>
最近人気の皮の薄い品種は箱のままですと、上に乗っているみかんの重みで潰れたり、腐りやすくなります。
私の母の時代は、みかんを箱ごと購入したら、上下をひっくり返して、底を上にして、底から食べていましたが比べた事はありませんので、まず、お試しを。
重みに弱いのでなるべく上に重ねないこと、冷暗所に保存して早めに召し上がって下さいね。

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<あんこう>

水深100〜300mの海底に住み、頭上でアンテナのようにひれを立てて、ひらひらさせては餌と勘違いして近寄って来た小魚を大きな口でパクッと飲み込んでしまうアンコウ。
太平無事そうに見える生き方から、安康(アンコウ)と付き、魚へんを当てて鮟鱇となったと言われています。
深海では背びれのふさの先が発光して、餌をおびき寄せるチョウチンアンコウやミツクリエナガチョウチンアンコウがいます。
ミツクリエナガチョウチンアンコウのメスは40cmにも成長するのに、オスはたったの2cm。メスにしがみついて生きるうちにオスメスの皮膚は癒着し、血管もつながってしまって一体になる生体をしているものもいます。
鮟鱇は江戸時代の料理本「古今料理集」や「本朝食鑑」にも詳細に解説され、漢学者の頼山陽なども鮟鱇鍋の美味しさをふぐ鍋よりも優れていると漢詩でその美味しさを絶賛。
味の良さとは反対にアンコウが綿密、周到に口を開けて餌を待っているというのに、その姿が滑稽だからでしょうか、時としてぼんやりとした人間に対して、アンコウの餌待ちなどという例えに使われたり、常日頃から大口をたたくくせにいざという時に後に引っ込んでしまう武士に対して、アンコウ武士といわれたり、、、美味しい魚なのに悪い事のたとえに使われてしまう、、、もしかしたら、『海のヒキガエル』と言われてしまう外見のせいかもしれませんね。
えら、ひれ、皮、肝、水袋(胃)、ぬの(卵巣)、大身(正肉)でアンコウの7つ道具!

<栄養>
7つ道具を食べたとして、身にはタンパク質や皮にはコラーゲンが豊富にあり、糖代謝や成長、味覚のために必要なミネラルの亜鉛、胴が含まれています。
肝臓は脂質が40%前後。
カロリーが高いですが、市販品のパックを見るとわずかしか入っていないので、他の部位のカロリーが低いので、肥満に繋がる程度ではありませんね。
また、免疫機能を維持するビタミンA、血圧やコレステロールを低下させたり、心臓の機能強化、動脈硬化、脳卒中予防にもつながらタウリンが含まれ、肝臓には特別にビタミンEも豊富に含まれています。

見分け方
丸ごとを買うことは出来ず、購入出来たとしても、アンコウは体の70〜80%が水分ですから、低カロリーとは言えますがまな板の上で捌くことは出来ず、おなかに水をいっぱい入れて皮をふくらませて吊るし切りで捌きます。
なので、一般的には、捌いた後の切り身を購入する事になりますが、パッケージに水(ドリップ)が多く出ていないものを選びます。

<保存法>
購入したその日の内に料理にした方が良いのですが、冷凍保存なら可能です。
空気を入れないように袋を閉じるかラップで包んで冷凍庫へ。
2ヶ月くらいの保存が可能です。

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<大根>

古代エジプトでは、ピラミッドの建設に従事していた労働者に、ニンニクや玉葱を与えていた事は有名ですが、大根は古代ギリシャやローマではラファヌスと呼ばれ、同じ目的で与えられていたことから、今から4000年前に大根が栽培されていた事がわかります。
ラファヌスとは早く現れるという意味のラテン語で、これが語源となって英語のラディッシュ(20日大根)が生まれました。
地中海沿岸で古くから栽培されていたのは、20日大根のことですが、イギリス、フランスに伝わったのは16世紀ごろ。
中国では、大根の最初の記載は紀元前400年に書かれたものがありますが、唐の時代に大根は三白と言って、米、塩とともに貧しい家庭の食料のことでしたから、白いという事、貧しい家庭のという事から推測すると、この頃から既に大量に栽培されていた事がうかがえます。
大根の呼び名が莱菔(ライフー)、蘿蔔(ロフ)ですから、ラテン語のラファヌスに由来するという説から、中国には地中海方面から伝わったと考えられています。
日本には奈良時代よりも前に伝わっていたらしく「古事記」の仁徳天皇の恋歌に女の手のように白い大根(オオネ)と登場し、正倉院文書によると、当時の大根は1本が米1升に匹敵したと。
当時はスズシロと言われ、春の七草のひとつとして数えられていました。
因みにだいこんと呼ばれるようになったのは室町時代からで、この頃から大衆化してきました。
明治以降で20日大根も登場し、今では100以上の品種があります。
種類が多いので一年中が旬ですが、冬大根は水分が多く、甘味を強いので、寒い冬の鍋や煮物でも大活躍です。

<栄養>
通常に頂く根の部分にはビタミンCやカリウムが豊富。
でんぷんの消化を助けるアミラーゼ、焼き魚の焦げに含まれる有害物質を分解して抗加齢、抗酸化にもつながるタンパク質や脂肪の分解を助けるオキシターゼをはじめリグニンや辛味成分が含まれています。
葉はβ-カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維などを含む緑黄色野菜で、ビタミンCの含有量は白い根の4倍以上。
アミラーゼをはじめとする酵素類を上手に取り入れるには生で、また、根の部分のビタミンCは皮に近い部分と皮に多いので、大根おろしには皮ごとがおススメです。

見分け方
葉付きの場合は葉がピンとしていて、つやがあるもの。
葉を落としたものは残った茎部分を折ってみて、折口がみずみずしいもので、歪んでいても良いのですが、ひげ根の生えている部分が歪んでいないものが良いでしょう。
大根は土を落とした時から、皮の劣化が始まり、ツヤがドンドンなくなって来ますから、ツヤのあるものが新鮮、同じ大きさならズッシリと重量感のあるものを選びましょう。

<保存法>
冬ですとベランダの日の当たらない所で皮の表面の乾燥のし過ぎを防ぐために、新聞紙に包んでの保存が出来ます。
が、切り口を作ってしまったものや冬以外の季節は冷蔵庫で保存します。
葉が切ってあると言っても5cmくらいついているものはその茎が根の栄養を吸い上げますので、保存する時はギリギリの所で切り落とします。
葉付きのものは買ってきたらすぐに葉と根に分けて保存し、葉は2日前後で黄色くなって来ますので、なるべく早く茹でるか煮るかして召し上がって下さい。
細かく刻んでご飯に混ぜて、大根菜飯も美味しいものです。

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<ホタテ貝>

東北から北海道を主産地とする寒海性の二枚貝。
二枚貝は通常2つの貝柱を持っていますが、ホタテ貝は1つだけ。
生まれた直後は2つの貝柱を持っているのですが、成長につれて一方が退化し、残った方が中央に移動して、大きくなります。

海底の海藻などに産卵し、5年で15センチ位に成長。
市場には天然物と養殖物とが流通していますが、天然物の多くは「地撒き(じまき)」といって稚貝を海にまき、13cm程度に育つのに、3〜4年かけて自然に育てた物。
養殖には、貝殻の耳の部分に穴を開けて吊るす方法と、海面からロープに籠をつけてその中に入れて吊るす方法があります。どちらも天然の海に生じる栄養分を摂取するため風味や栄養成分は天然物と引けを取りませんが、天然物のほうが自由に動き回れる分、やや身がしまっているように感じられ、その食感が美味しさにつながります。
一般に出回っているのは青森県陸奥湾、北海道噴火湾、岩手県、 宮城県の沿岸での養殖物で、食用として流通しているものの半分以上が養殖。
貝柱の強い力を使って二枚の貝殻を勢い良く閉じ、耳と呼ばれるところにある2つの噴射口から、ジェット式に水を吐き出して、その反動で前に飛ぶようにして泳ぎます。

殻付きの生が手に入ったら、殻の平らな方から外すようにするとキレイに剥がれます。殻付きのまま網焼きなどにする場合も、先に一度殻から外して焼いた方が栄養たっぷりの美味しい焼き汁を逃さずに済みます。
生で食べる時は貝紐も食べます。
包丁の先でヌメリをしごくようにして落とし、塩水で丁寧に洗って生臭みを取りましょう、丁寧に処理をすると、コリコリとした食感となり、貝柱との食感の違いを楽しめます。
  内臓は捨てます。毒性プランクトンの毒を貯めて毒化する事があるので、加熱後だとしても出来れば、食べない方が良いでしょう。

<栄養>
アミノ酸の中では、甘味を持つグリシンやアスパラギン酸が多く、アラニン、イノシン酸などもたっぷり含まれているため、、生でも加熱して強い甘味と旨味を感じます。コハク酸はアサリの10倍含まれています。
タンパク質やタウリンも多く、タンパク質含有量は貝類の中ではTOPクラス。
その他にビタミンB2、カリウム、鉄、亜鉛などの供給源となり、最近、抗がん作用で注目されている成分、ゲルマニウムやセレニウムも含まれています。

見分け方
通常、生の貝はやや開き気味ですから、上から触ってすぐに殻を硬く閉じるものが新鮮です。
むき身を購入する時はツヤと弾力があって、白いドリップが出ていないものを。
乾燥した貝柱も生のものも、好みによるかもしれませんが、オレンジ色がかかっている方が、全くの乳白色のものよりも美味しく感じられます。

<保存法>
殻付きの場合は、ボウルに入れて乾燥にしないように濡れ布巾をかけて、冷蔵庫に入れて眠らせている状態にしても翌日には召し上がるようにして下さい。
内臓だけを取って、殻と貝柱とを別々にして冷凍保存する事が出来ます。
勿論、生食の貝柱だけでも、冷凍保存は出来ます。が、解凍している間に、ホタテ独特の爽やかなしゃきしゃき感がなくなり、ねっとりとした食感になりますので、出来れば、貝柱から外してから早い状態で召し上がる方が美味しいでしょう。
加熱して召し上がる時は冷凍ものでも、味に大きな差は出ませんが、加熱しすぎますとタンパク質が硬くなってしまいますので、新鮮なものでしたら余熱調理のつもりで加熱しましょう。

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<人参>

セリ科の2年草で、ずんぐりとしたオレンジ色の西洋系と細長くエンジ色が入ったような色の東洋系がありますが、元々は同じでアフガニスタン周辺地域が原産地とされています。
アフガニスタンからペルシャ、トルコなどを経てヨーロッパに入ったのが西洋種。14世紀頃にアルプスを越えて、当時原種に近い紫色の長い種類のものが16世紀頃にオランダで橙色に改良され、現在のような根の短いものになるのは18世紀頃にフランスで品種改良されたものです。
東洋種はシルクロードを辿って華北に入り、そこから南北に分散して伝播し、胡瓜、胡麻、胡桃などのように、西域から伝わったものは胡という文字がつくように、人参も中国語では胡羅萄(こらふく)といい(羅萄はちなみに大根のこと)、中国で人参と当てるのは、朝鮮人参のこと。

日本には、江戸時代の初め頃に入っていたと思われます。その名残は今も京人参と呼ばれる金時人参。
西洋種は幕末に長崎経由で入って来ましたが普及せず、戦後あたりまでは東洋種が主流でした。
東洋種は煮物、酢の物には向いていますが、シチューやサラダには不向きで、昭和30年以降、食生活の西洋化に合わせて三寸人参、五寸人参といった西洋種が主流になっていきました。

<栄養>
カロテンの語源にもなったキャロット。オレンジ色が濃いものほど、カロテンは多く含まれています。
100gの換算では、大葉やパセリの方がカロテンは多くなりますが、1回の食用分でいくと人参1/3で一日の必要量が摂取出来た事になります。
人参のカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わるβ −カロテンで、ビタミンAに変換されなかった残りのβ −カロテン自体にも、活性酸素の害から体を守る働きがあります。 その他にビタミンC、E、カリウム、鉄が含まれ、食物繊維も豊富です。
 β −カロテンやビタミンC、旨味成分の殆どは表面の薄皮の近くに多く含まれているので、皮をむかずに調理する事をおススメします。(人参の美味しい食べ方 丸秘テク参照

見分け方
鮮度を見るには葉付きのものに限りますが、葉を落として売られている人参でも、葉の切り口が黒ずんでいたり、葉の小さな芽が出たりしていないものを避ければ大丈夫。
色ツヤが良く、葉の切り口が小さくしまって、大きすぎないものを選びます。

<保存法>
酸素や水分を嫌うので、ラップやポリ袋に入れて野菜室で保存します。
根物は比較的長持ちしますが、1週間を限度としてお使いになると、失敗はないと思います。夏場だけは、ラップやポリ袋に入れる前に新聞紙やキッチンペーパーで包まれた方が水分から守ることが出来、新鮮さも保たれます。
葉付きのものは葉を切り落として、別々にラップに包むかポリ袋に入れて保存をしますが、葉はすぐにダメになりますので、茹でて刻んで混ぜご飯用に使ったり、一番のおススメはかき揚げです。油の料理をすることで、脂溶性のカロテンの吸収がぐんと高まります。

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<りんご>

千年前から栽培されていたと推定されているりんごは、中央アジアが原産地。
ヨーロッパに伝わって、伝説や物語に登場するようになって、最も古い書物では「旧約聖書」の創世記。
イブの食べた禁断の果物がりんごだという説が通説ですが、これはラテン語の『悪』とりんごのつづりが似ていることからと考えられていますが、その頃にりんごは栽培されていないので、杏かオレンジではないか、との説もあります。

古くから食べられていたりんごですが、お酒やジュースに使われ、生食が美味しい品種が出来たのは18世紀になってから。
日本には、平安時代に中国から入って来て、鎌倉時代にはお菓子に加工されて食べられていました。
この頃のりんごは和りんごと言って、小さい品種のもの。
今のような大きいりんごは西洋りんごと呼ばれ、明治になってから政府肝いりで導入され、北海道、青森、秋田、長野に配られたので、そのまま産地になりました。

りんごは別の品種の花粉がつかないと種子が出来ず、親和性を持つ別のりんごで受粉させます。
外国のりんごは甘味が少なく、日本人の嗜好に合わなかったため、日本で改良されたものが出回っています。
りんごの熟成期は種類によって異なりますが、8月頃に出る<祝>と<つがる>などの早生品種が出荷され、秋になると<スターキング><紅玉><陸奥><千秋>と出荷され、やがて<ふじ><王林>が出荷されます。
ふじは国光とデリシャスを掛け合わせた国産品種ですが、ロンドンの品評会でグランプリを優秀な品種です。

<栄養>
ビタミン類はあまり含まれていませんが、コレステロールを低下させるといわれている水溶性食物繊維(ペクチン)や、食欲増進になるリンゴ酸やクエン酸を多く含み、高血圧低下作用のあるカリウムも豊富です。
リンゴの皮をむいて、褐変を防ぐために水に漬けておく人もいますが、ビタミン類が少ない上に水溶性のビタミンが流出してしまうので、避けましょう。
リンゴの一番の栄養はポリフェノールのある皮。
と知ってしまえば、もう、皮はむきませんよね?
皮のすぐ内側が甘味があるので、皮ごとの方が、むいて食べるよりも甘く感じられます。

見分け方
表皮に凸凹がなく、ツヤとハリがあるもの、ヘタが太くて、褐変していないもの。
ヘタの先は乾いて茶色くなっているものは古いものです。
また、下のおへそのようになっている方に白い粉のようなもの(ブルーム)がついていて、新鮮なハリを感じさせるものを選びます。

<保存法>
ポリ袋に入れて口を塞いで冷暗所か冷蔵庫の野菜室に保存しますが、りんごは熟成を促すエチレンガスを発生させて、野菜や他の果物を老化させてしまうので、必ずポリ袋かラップでエチレンガスの影響を防ぎます。
が、このエチレンガスの特性を使って、未熟な果物の熟成に役立てる事も出来、ジャガイモの発芽を防ぐためにジャガイモの箱の中にりんごを入れておくという使い方も覚えておくと便利です。

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<片口いわし>

安い、美味しい、体に良いと三拍子揃ったイワシ。
イワシの仲間はニシン目に属しますが、マイワシはニシン科、ウルメイワシはウルメイワシ亜科、片口イワシはカタクチイワシ科と分類され、片口イワシはこの中で一番小さい種類。

親潮と黒潮がぶつかる房総沖が一番の漁場とされ、この地方では『セグロ』と呼ばれ、頭を取って手で三枚に下ろして生姜醤油で食べる『セグロのカラミ」という料理が好まれています。
片口イワシの名は、上あごが突き出しているからと言われていますが、通常は生(丸)干しとして売られている事が多いので、上あごが突き出ている姿は少々、確認しづらいかもしれません。
炊きたてのご飯と丸干しをさっと焼いたものに大根おろしと醤油をかけて、、、というのは、日本人なら多分、誰でもが賞賛する味なのに、生鮮食品として出回るのはたったの5%、加工食品として25%、残りは養殖の魚の餌か畑の肥料とされてしまいます。

お正月に「田作り」という名前で、イワシに甘辛いタレを絡めた料理がありますが、昔から漁獲量が多くて畑や田の肥やしにされて、米の豊穣を祈った名残です。

<栄養>
良質のタンパク質、脂質、カルシウムをはじめとするミネラル、ビタミン類が豊富ですが、特に注目されるのは不飽和脂肪酸。
善玉コレステロールはそのままで悪玉コレステロール値だけを下げたり、血液を固まりにくくする効果で医学的にも注目されているIPA(イコサペンタエン酸)、加えて、脳の活性化に役立つと期待されるDHA](ドコサヘキサエン酸)、物忘れ防止効果が注目され始めたアラキドン酸が含まれています。
その他にも脳の神経伝達物質の原料になるチロシン、血中コレステロール値を下げるタウリン、老化をふせぐ核酸など、私の年にもなると食べずにはいられない栄養が豊富に含まれています。
丸干しですと骨ごと内臓も含めて食べられますが少々脂質が減ってしまいます、また、生のものも煮込みなどに骨ごと使われると脂質は十分に摂取出来ますが、腹ワタの栄養が取れませんがどちらも捨てがたい美味しさと健康効果のある食べ方と言えます。

見分け方
青背の魚は陸に上るとドンドンうろこが取れていってしまいますから、うろこがたくさんついているもの、おなかが銀色にピカピカと光り、ふっくらとした丸みがあって、背中の青い部分を濃く、全体にハリがあって、目が澄んでいるものを選びます。
丸干しで売られているものでも、おなかがしぼんでいなくて、半乾き程度までの生感がないと栄養効果が期待出来ません。

<保存法>
青背の魚は腐りやすいので、生の状態ですと氷温に入れておいても、腹ワタが入っていると半日程度。腹ワタを抜いての氷温は1日〜2日が限界。
すぐに食べない時は三枚に下ろして冷凍するか、加熱して保存。
丸干しの場合はそのまま冷凍保存も出来ますが、氷温で1週間くらい保存が可能です。

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<うなぎ>

万葉の昔から、夏やせに良いとされていたうなぎですが、旬は秋。
うなぎの出生は謎だらけ。
川や沼で見かけるうなぎは成魚ばかりで、淡水で7〜8年育ち、海に出て産卵することはわかっているのですが、卵を抱いたうなぎも見つかっていないので謎だらけ。

古くはムナギと言い、万葉集には牟奈岐とあり、形が家の棟木に似ているという説や、胸が黄色を帯びているからという説があります。
日本のうなぎの産卵は台湾東方の深海だろうと推測されていますが、孵化したばかりの稚魚はうなぎと似てもにつかない形の透明な生物で、こういう生態の稚魚をレプトセファラスと呼ぶそうですね。
この後変態して、3〜7cmの針金のようなシラスウナギとなり、暖流にのって日本近海に近づいたシラスウナギは沿岸の海底で時期を待ち、10月から翌年の5月まで、川を上り始めます。
滝があっても崖があっても川の湿地を体をくねらせてでも川を上っていく様が「うなぎ上り」の語源となりました。
川を上ったら石垣の隙間や入り口が狭くて奥深いアナをみつけて住み、エビやカニ、昆虫、かえるなどを貪欲に食べ、4〜5年で成魚になります。
うなぎの皮の表面はムコ多糖体で、うろこがない皮膚を守っていますが、海でも川でも生きられるように海水と淡水を調整しているものでもあります。

うなぎで有名なのは万葉集、大伴家持の「石麻呂に我物申す夏やせによしといふものぞ牟奈岐とり食せ」というものですが、当時はどういう食べ方をしていたのかは残っていません。
室町時代の「大草家料理書」にようやく蒲焼が出てきますが当時は丸のまま串にさして焼いていて、その形が蒲の穂に似ていることから、蒲焼と言われるようになりました。
で、この蒲焼と土用丑の日が結びつくようになったきっかけは、江戸時代中頃、平賀源内がうなぎ屋に看板を頼まれ、大伴家持の歌をもじって「本日土用丑の日 鰻の日」と書いて店頭に出した所、大当たりしたという説と、蜀山人が作った「土用の丑の日にウナギを食べれば病気にならない」という意味の狂歌が宣伝になったという説、うなぎ屋の春木屋善兵衛が大量の蒲焼の注文を受けて、土用の子、丑、寅の3日間にわたって焼いたもののうち、丑の日の蒲焼が最も美味だった事から「丑の日元祖春木屋」と名乗ったという3つの説があります。

<栄養>
特筆する栄養はビタミンA。蒲焼1人分で一日必要量の3倍。
タンパク質、脂質、ビタミンB群、D、カルシウム、鉄など多く含まれています。肝にもビタミンA、鉄などが豊富。

見分け方
生で買うことはなかなかないのでしょうが、生きがよく、皮膚に光沢があるものが良品。
あまり大きくないほうが美味しいと言われていますが、脂がどんとのってる大きいほうが好きだという方も多いようです。
蒲焼の場合は身がふっくらとして厚く、焼きしまりのないものを。
本来なら焼きたてが一番おいしいのですけどね、スーパーでは無理でしょうか。

<保存法>
白焼きや蒲焼にしたものは冷蔵庫で3日ほど持ちますが、ラップで包んで冷凍保存することも出来ます。

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<さつま芋>

中央アメリカの熱帯地が原産地。
コロンブスによってヨーロッパに伝わり、その後、世界各地に伝播。
日本には、17世紀の初めに中国から琉球に伝わり、薩摩、本土と伝わったため、琉球では唐イモ、薩摩では琉球イモ、本土では薩摩イモと呼ばれます。
暖地系で痩せた土地でも育つため九州全域に普及し、徐々に日本列島に伝わってきました。

享保の飢饉の時にさつま芋が普及していた地域は痛手が少なかったので、救荒作物として江戸時代に青木昆陽が、「甘藷考」(後に薩摩芋効能書と改訂)を書き上げ、町奉行大岡越前守に認められ、徳川吉宗にと伝えられ、薩摩から取り寄せた種芋で、小石川薬草園で試作に成功し、千葉の幕張で栽培開始、こうして、さつま芋は関東全域に普及。大阪では百珍ブームで甘藷百珍が出版され、茶巾芋や蒸し芋などの芋料理が紹介されており、京都では蒸し芋がブレイクしたようです。
18世紀の初めに江戸で焼き芋屋が出現。
江戸時代後期には焼き芋屋大ブレイク。
江戸にさつま芋を供給していたのが川越で、「栗(九里)より(四里)うまい十三里」という語呂合わせから、さつま芋のことを十三里とも言います。
実際に江戸から川越まで13里だったそうですね。
明治時代になると石焼き芋、大正時代になると大学芋が出現し、第二次世界大戦の時代にもさつま芋は大活躍。
食用だけでなく航空燃料の原料としても利用されました。

<栄養>
ビタミンCが豊富で、100g中の含有量は柑橘類並み。
さつま芋のビタミンCはでんぷんによって包まれているために熱による損失が少なく、焼き芋にしても9割が残っています。
ほかの芋類にはないビタミンEが含まれているのも特徴のひとつ。
抗酸化作用のあるビタミンCとEの両方を含むので、抗酸化食品と言っても過言ではありません。
食物繊維はじゃが芋の2倍、切り口から出てくる白い液体はヤラピンと言って、便をゆるくする作用があり、食物繊維と共に厳秘の予防、改善、大腸がんの予防などが期待出来ます。ビタミンB1、B2、カリウム、肉質が黄色いものはβ-カロテンも含まれています。ヤラピンを多く摂取するには従来のアクを水に漬けて取る料理法ではなく、調理直前に切ることをおススメします。
また、食物繊維の多くは皮に近い所に多いので、なるべく皮をむかずに利用しましょう。

見分け方
傷や色むらがなく、ふっくらとして洗ってあるものならツヤと感じられるくらいのハリがあるものを。
極端な曲がりやひげ根の太いものは目が出てくる前ですので避けましょう。
切り口が乾き、グレーのシミが出ているものは、かなり古いでしょう。  

<保存法>
低温や水気に弱いため、新聞紙やキッチンペパーに包んで常温で保存します。
ただし、切れ目を入れてしまったさつま芋はレンジなどで加熱して、マッシュしてから冷凍保存しておきましょう。

美味しい加熱方法は丸秘テクニック参照

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<あわび>

アワビは食用だけじゃなく、神饌(しんせん)として、貢物として、古来から私達の生活に深く関わって来ました。
アワビの語源としては、昔は殻が扁平で巻きが小さいため、二枚貝の片側と考えられていた事もあり、「磯のアワビの貝の片思い」と言われるように、合わない貝 がアワビになったとされていますが、諸説もなく、根拠も乏しく、ただ身を殻が包み込むようにしているから、鮑という字になったとか。
おっかしいですよね、ハマグリは蛤、アサリは蛤仔、シジミは蜆 と貝は虫へんなのに、鮑は魚へん。
ふふ、蚫 とも書くんですよ、知らなかったでしょ?一説には、お寿司のネタは魚だから とか。
これも根拠のないお話です。

それにしてもこんな扁平な貝が巻貝?
そうなんです、鮑は小さい時は薄い透明な蓋をもっているのです。
成長して岩場に棲むとその蓋を捨ててしまいます。
マダカアワビ、メガイアワビ、クロアワビ、エゾアワビなど種類も多く、北海道以南、南九州までの岩礁地帯に生息し、夜活動して、ワカメや昆布などの海藻類をたべますから、ワカメや昆布が豊富な所のアワビは美味しいということになります。

「延喜式」には諸国からの貢進産物として、30種類近くのアワビの加工品が記されています。
今でも熨斗アワビという形で「のし袋」に残っていますが、神話の時代に倭姫命(やまとひめのみこと)が志摩半島を巡行した時に、アワビと採る海女を見て以来、伊勢神宮に毎年アワビが献上されたという故事があって、その後、長生不死の薬、命を長ずるものとして、慶祝、祝賀の贈答品に使われるようになったそうです。

<栄養>
肝臓の昨日を高め、体力をつけるグリコーゲン、血圧やコレステロール値を低下させるタウリン、心身の疲れを取り除くビタミンB1、若返りのビタミンといわれるビタミンEなどが含まれています。
また、目のトラブルに処方される漢方薬「石決明(せっけつめい)」は、アワビの殻から作られています。
薬効は身よりも殻の方が高いとされ、日本の民間薬でも活躍しています。

見分け方
生きているものが一番良いのですが、身がよく動いていてつやの良いものを選びます。

<保存法>
生きている内に料理するのが一番なので、敢えて保存法は書かない方が良いのですが、まぁ、滅多にたくさん頂くという事はないとはいえ、ぐんと味は落ちてしまいますが、冷凍保存する事が出来ます。

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<南瓜>

南瓜はとうもろこしやインゲンマメ同様にとても古い植物で、古代メキシコ人やアメリカ大陸先住民の重要な植物です。メキシコ南部から中米が原産地のニホンカボチャ、ペルーからチリにかけての南米高原地帯を原産地とするセイヨウカボチャ、メキシコ南部高冷地生まれのペポカボチャの3つの種類が主な種類で、ヘタの形で区別されています。

カボチャという名前は16世紀にニホンカボチャが伝来した時に、カンボジアから来たとされています。
日本には室町末期の天文10年(1542)、ポルトガル船が豊後の国、大分県に漂着し、貿易を始めた時にニホンカボチャを献上したのが始まり。
当時、ポルトガル語でアボブラ(abobura)と言った事から、九州ではボウブラという呼び名が今も残っているそうです。
関東では中国から来た茄子とう意味のトウナス、関西では中国での呼び名、南瓜が訛ってナンキンと呼んでいます。
因みに英語のパンプキンと言うのは、パイ用の南瓜という意味です。

伝来当初はあまり人気がなく、注目されるようになったのは天保の飢饉以来。
その後、食用だけではなく、民間信仰ともつながっていき、中でも有名なのは200年前、京都鹿ケ谷安楽寺の真空益随上人が南瓜を供養すると万人が病を免れるというお告げを受け、以来、土用の7月25日に南瓜供養が行われるようになり、ひょうたんの形をした一般市場では見かけることのない鹿ケ谷カボチャがこの供養のためだけに今も作られています。

ニホンカボチャは溝があって菊カボチャとも言われますが、水分が多くて煮物にしかならないので、今やホクホクとして甘味の多いセイヨウカボチャが主流になり、今私たちが美味しく食べている栗カボチャは開発当時はオノで割らないと切れないくらいに皮が硬かったので、マサカリカボチャと言われ、品種改良されて全国に広まり、更に新品種の「えびす」「みやこ」など皮が濃緑色で縦縞の入る一代雑種が栽培の主体になっています。
食べられませんが、ハロウィンで使う大形のもの、飾り用に手に納まるくらいに小さいものもあり、日本では煮ると果肉がそうめん状になるソウメンカボチャ、肉詰めなどに使われるテーブルクィーン、ズッキーニもカボチャの仲間です。
最新のカボチャではコリンキと言って生食出来るものまで出来て来ました。

<栄養>
β-カロテンをはじめ、ビタミンB群、C、E、カリウム、食物繊維などを豊富に含み、皮を摂取すると緑黄色野菜の葉もの同様の栄養を摂取する事が出来ます。β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わりますが、変換されずに残ったカロテンも、抗酸化作用によって抗がん、老化抑制になり、悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を防ぐのに役立つのですが、カロテンだけではなくビタミンC、Eも抗がん作用があり、通常、抗酸化ビタミンは加熱に弱いのですが、カボチャの場合は、でんぷんに守られているので、損失が少なくて済みます。
栄養学的にはニホンカボチャよりセイヨウカボチャの方が上、カロテンは5倍、ビタミンCは約2倍になっています。

見分け方
皮の色が濃く、形が整っていて、ツヤのあるもの、皮に爪が立たないほど皮の硬いカボチャは完熟していると言われていますが、最近では丸ごと買うのは稀。
切って売られているものは、まず、地面に接着していて黄色い部分がある所は、ダメ。また、よ〜く種を見て、ぷっくりと丸くなって、完熟しているものがホクホクしている確立が高いです。 

<保存法>
使い残したもの、切った状態で買ったのなら、種とワタを取って、ぴったりラップをして野菜室へ。
すぐに使わないのなら、4〜5cm角に切って、レンジで加熱して、ラップに包んで冷凍保存が出来ます。
また、煮物にしてぴったりラップも冷凍出来ますし、カボチャのサラダにしたものを冷凍する事も出来ます。


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<ウニ>

ウニの仲間は世界に850種、日本では140種が確認されています。
ウニの語源は海丹(ウミニ)が転じたという説や海胆(うみい)が訛ったという説など諸説あります。
古来よりウニは滋養強壮、健胃や火傷にも効ありとされていますが、胆や丹という文字には不老不死の薬をさす意味があるので、その辺りが語源につながったのでは と。
日本で一般的なものはバフンウニ(棘がなくて、やや緑がかったグレー)とムラサキウニ(黒くて長い棘が全体にある)ですが、バフンウニは北海道北部〜九州全域、ムラサキウニは本州中部〜九州南域の浅海の岩礁地帯に分布しています。
ウニは頭も脳もなくて、私達が食べている所は生殖巣で、旬になると体の大部分が卵巣になるので、食べる私達には都合が良いのですが、不思議な生き物ですね。
日本では縄文時代から食用にされてきたようで、貝塚から出土したおびただしい量の殻が証明しています。
日本以外でもイタリアのボンベイ遺跡からもウニの殻が出てきています。また、古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、ウニを生や加熱して食べると書き残していますから、ウニの硬い歯のある口の部分を「アリストテレスのちょうちん」というのも、なんとなく頷けるような。

<栄養>
タンパク質、ビタミンA,、B1、B2、カルシウム、ヨード、鉄が多く、赤や茶に見える色はエキネノンやエキノクロールAというビタミンAと同じ働きをする成分によります。
ウニの旨味はメチオニン、バリン、グリシンなど6種類のアミノ酸が絡み合って作りだしているもの。産卵期の成熟したものになるほど旨味が強く出てきます。

見分け方
くすんだ色のものは避けます。粒がはっきりとしていて、形もダレていなくて、ふっくらと盛り上がり、オレンジ色の光沢のあるものが良品と言えます。殻付きではなかなかお目にかかれませんが、バフンウニの産卵期は3〜4月ですが、採取期は7月土用入りから9月頃まで、ムラサキウニは産卵期が6〜7月で天草では「寒雲丹」といって、12月〜2月に採取する所もあり、殻つきだと判別は出来ますが、通常の店先では、何ウニかが区別していないようです。
輸入されたウニは大きくて、大味ですが、北海道北部のエゾバフンウニやキタムラサキウニ、房総半島以南のシラヒゲウニなどは大型で7月〜出回りますが、輸入されたものと違って、旨味が勝っています。
好みにもよりますがムラサキウニよりもバフンウニの方が美味しいといわれています。

<保存法>
購入後、氷温で2日が限界でしょうか。 塩をして保存する事は出来ますが、生の風味は消えてしまいます。一番に美味しいのは殻から外した直後ですから、時間が経つにつれて、海の香りも異臭に変わってしまいますので、なるべく購入したその日に召し上がれ!

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<とうもろこし>

中央アメリカ原産。イネ科の一年草。他のイネ科の穀物と違い、祖先野生種が見つかってなくて起源が2つに別れています。1つは、メキシコからガテマラにかけての地域に自生していたテオシントが起源とする説と、もう1つは2つの種を交配させて作り出されたとする説。紀元前5000年頃までには、栽培されるようになり、ヨーロッパにはコロンブスが種を持ち帰ってから、各地で栽培されるようになったとされ 日本には16世紀に入って来ていますが、1579年オランダ人から長崎または四国にフリント種が伝わり、明治時代になって北海道にアメリカからスィートコーン、デントコーンが導入されてからです。

最近では品種改良が進み、ゆでたり焼いたりなどして食べる甘味種(スィートコーン)の中でも、甘味黄色種では20年前あたりから味来(みらい)、サニーショコラなどが糖度12%以上もあり、人気があります。 甘味バイカラ種は実が黄色と白が混ざった混合種で、ピーターコーンに代表されます。 ポップコーンになる爆裂種、コーンスターチになる馬歯種、紫色、白色、変わった所では、完熟種子の表面がワックスをかけたようにツルツルして、少し若い状態で蒸すとモチモチとした食感のモチトウモロコシなど種類もたくさんあります。

<栄養>
主成分はでんぷんで、タンパク質、脂質、糖質をバランスよく含み、ビタミンE、B1、B2、カリウム、亜鉛、鉄などの栄養素が含まれています。食物繊維も多く、黄色い種実にはβ -カロテンも含まれています。
ひげ根は漢方では玉米須(ぎょくべいす)と呼ばれ、煎じて飲むと、利尿効果、降血脂作用、降圧作用、胆汁の分泌を促す作用などがあり、生活習慣病の予防と改善に使われています。

見分け方
ひげ根の数だけ実があるのですから、ひげ根がたっぷりとついていて、先端が茶色く縮れているもの、外側からみて、ずんぐりとしているもの、皮の色が濃く、皮の先端の葉がいきいきとして新鮮なもの、見た目よりも重く感じられるものが新鮮です。とうもろこしは収穫して時間が経てば経つほど栄養も味も減っていきますから、新鮮であることの目利きが重要です。

<保存法>
生のままですと味も栄養も減るので、加熱したものを冷蔵、または冷凍(実を取って)します。

*美味しいとうもろこしの食べ方
 とうもろこしは焼いても蒸しても、ゆでても美味しいのですが、レンジを使って加熱すると、実の凹みもなく、  美味しく召し上がれます。 皮の実に2〜3枚残した状態までむき、ラップかポリ袋に入れて、レンジで加熱します。  レンジの出力ととうもろこしの太さにもよりますが、1000wでとうもろこし3本を6分前後を目安。レンジから取り出しても  粗熱が取れるまではそのままにして、余熱で加熱をします。 すぐに袋から出したり、ラップを外しますと実が凹みます。  塩茹でにする場合は、ひげ根も一緒にゆでると色が鮮やかに残ります。ゆでたり、蒸したりした後のとうもろこしは  すぐにラップで包んで粗熱が取れるまで置くと、実が凹まずに美味しく召し上がれます。

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<鮎>

鮎の語源は、ご馳走の意味の「饗(あえ)」から転じたという説や愛魚からアユになったという説、諸説ありますが、一番有力なのは、九州地方の方言で今も生きている「落ちる」という意味の「あゆる」がアユになったという説。
秋になると川上から下流に落ちてくるアユの特性をとらえて、あゆるという意味で「アユ」とつけた、う〜ん、昔の人はネットのない時代に博識だったのですね。

しっかし、語源はわかりましたが、なぜ、魚へんに占うと書いてアユなの?
実はね、神攻皇后が新羅に遠征に向かう途中に、肥前国松浦の川で釣りをした時に「遠征が成功するなら、魚よかかれ」と言ったところ、アユがかかったそうで、戦いの占いをした魚ということで、鮎という字を当てられたとか。

鮎は鮭や鱒と近縁の魚で、北海道の南岸から九州にかけての清流に住みます。春に川の温度がぬるくなってくると稚アユは川を上り始め、海ではプランクトンを食べていたのが、川では藻類に変わり「上りアユ」といわれ、形から「柳っ葉」と呼ばれます。夏の初めに上流に落ち着いて、単独行動をしますが、1メートル四方の縄張りを張り、闘争本能むき出しにして、自分の縄張りに侵入してくると噛み付くように威嚇して追い出します、この習性を利用したのが友釣りです。秋になると産卵のために砂利の多い瀬に下って行きます。これを落ちアユといい、川底に産み付けられて孵化したアユは海に流されますが、産卵を終えたアユは1年の命を閉じます。

アユの解禁は6月1日ですが、味が良くなるのは土用から8月頃。
鵜飼や簗(やな)による漁は奈良・平安時代には既に行われていて、天皇への貢物に使われてたため天皇や寺・神社に保護され、武家社会になっても鮎漁は、幕府の簗場で行われていました。
今でも鵜匠は宮内庁に所属していますが、当時から、天皇家、藩、幕府に保護された特別な職でした。

<栄養>
カルシウムや亜鉛、マグネシウムなど、強壮、強精効果のあるミネラルが豊富で、疲れ目や骨粗鬆症予防にも。
ワタの塩辛「ウルカ」はビタミン、ミネラルが豊富で、熱湯を注いで飲んで整腸作用の薬として民間では飲まれていた事もありました。

選び方
市販されている殆どのものは養殖ですが、胸ヒレの上の辺りの黄色いものは新鮮です。表面にぬるっとしたようなベールが残っているもの、唇が闘争本能むき出しのものは天然だからこそ。
石の苔が採りやすいようにくし型になってしまっているからです。 噴門から、はらわたが出ているものは少々古いものです。

<保存法>
アユは川魚ですから、稀に寄生虫を持っている恐れがありますので、保存するなら焼いてから。
冷凍をすると味が随分と落ちますので、新鮮な内に召し上がって下さい。
焼いたアユを炊きたてのご飯の上にのせて作るアユ飯は、この季節ならではの味。勿論、お結びにして、冷凍保存も出来ます。

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<枝豆>

ビールと言えば枝豆!最近では冷凍を含めて、殆ど通年、出回っていますが、旬は夏!
昔は大豆の若いもの、枝についた豆で枝豆としましたが、最近では、枝豆用に品種改良されたので、大豆の若いものとは言えなくなりました。
数年前より、だだちゃ(庄内地方の方言でお父さん)豆という産毛が茶色でやや小ぶりの枝豆も人気があり、通の枝豆と呼ばれて、値段も相当高くなりますが、黒豆枝豆(旬は秋)も取り寄せで人気の枝豆。
昔はマメ科につく根粒菌が窒素を補給すため土壌改良に役立つという理由で田や畑の畦や周りに植えられていました。

<栄養>
タンパク質、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、食物繊維、鉄などが豊富。
ビタミンB1は糖質の代謝を高めて、体内で疲労物質に変わるのを防ぎ、新陳代謝を促進し、疲労解消にも役立ちます。
大豆にはないビタミンA、ビタミンCを含み、枝豆のタンパク質に含まれているメチオニンはビタミンB1、ビタミンCと共にアルコールの分解を高めてくれるので、ビールのつまみとしてピッタリです。
また、カリウムも多く含んでいますから、むくみや高血圧の方にはおススメ。
ゆでた後、あまり塩をたくさん振り過ぎないようにだけご注意下さいね。

選び方
産毛がしっかりとしていて、豆の形がくっきりとサヤから浮き出ていて、豆がぷっくりと丸くなっている方がぺっちゃんこの豆よりも栄養価が高くなります。

<保存法>
塩でしっかりもんで産毛を落とし、塩がついたままの状態で、熱湯で茹でます。
塩をふって、団扇で一所懸命扇いで冷ました方が、冷水に取ったものよりも美味しく召し上がれます。
で、茹でてから、殻を外して冷凍して保存します。
生の状態では、一日過ぎるごとに味が落ちますので、腐りませんが、ご注意下さいね。

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<真鯛>

鯛は縄文・弥生時代の遺跡からその骨が出土し、古くから食用されて来た魚であり、色どりの豪華さからも魚の王様と言われて来ました。名前の由来は「めでたい」からというのを良く聞きますが、本当は927年(延長5)に完成した宮中の祭儀から行政儀式、法令の実施に関する規範を定めた「延喜式」に、朝廷に献上したタイを「平魚(たいらうお)」と記したことから、たいらうおが訛ってタイとなったという説の方が一般的。

タイはマダイ、チダイ、キダイ、クロダイなど10種類に及ぶタイ科の魚の総称で、「タイ」という魚は存在しないのです。
通常はマダイをいいますので、春に旬のマダイを取り上げますね。
マダイは北海道から台湾、中国にも分布し、普通は岸からあまり遠くない岩礁の海底に生息し、春に水が温かくなってくる桜の頃になると産卵のために群れをなして深場から海岸近くの浅瀬に上ってきます。
通常の魚は短命ですが、タイは成魚になるのに5〜6年、その後30年近く生き延びます。

昔からタイは縁起物の魚の代表にされていますが、日本書紀の中では赤女魚と書かれ、その色の美しさを女性という字を入れて表現していますがタイが魚の王様とされたのは江戸時代以降のこと。

室町時代あたりでは、コイがその位置にいて、こいのぼりとして立身出世を祈ったり、中国の登竜門伝説の竜になる魚というのが影響したのでしょうが、江戸時代に漁法が発達して、一本釣りに加えて延縄漁で生きたまま運搬する船も出来て、幕末の慶事に備えて生簀まで作られ、色の美しさ、華やかさがコイを抜いて祝儀に欠かせない王様の座に。

<栄養>
アミノ酸バランスのよい良質たんぱく質が多く、脂肪が少ないという典型的な白身魚なので、治療食には欠かせない魚。
旨味の元になっているのは豊富に含まれているイノシン酸。ビタミンB1,B2が多く、B1は眼球、B2は皮に特に多く含まれています。また、塩分を外に排泄する効果のあるカリウムや血圧、コレステロール値を下げると期待されているタウリン、血行を改善したり脳神経の働きを活発にすると期待されるナイアシンなどが豊富です。
腐ってもタイといわれるように鮮度が落ちても味が悪くならないのは、脂肪分が少ない事と、イノシン酸が分解され難いから。カルシウムも多く含まれています。

選び方
全体に光沢があり、目がイキイキとしているもの。新鮮なものは目の上がやや青く、アイシャドウを入れたような感じで体色は金赤色、黒いものは養殖で日焼けしているものかもしれません。また、天然タイは広い海底を泳ぐので尾ひれの真ん中辺りのくびれた所が鋭利にとがっていますが、養殖は丸くくびれています。
切り身で買う場合は、トレイにドリップが出ていない事。

<保存法>
うろこを取らずに内臓とエラを取って冷凍するか、切り身にして冷凍します。
翌日に食べるという場合でも、内臓とエラは取って置かれた方が良いでしょう。
うろこを取ると魚は急激に劣化しますので、食べる前の仕込みをする時までは付けておきます。
切り身で売られていたもの、お刺身用のものはそのまましっかりとタラップに包んで、空気を入れないように閉じて冷凍をしておくと鮮度が保たれます。

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<イチゴ>

イチゴはバラ科の多年草、南米チリが原産地。日本には江戸時代にオランダ人が伝えたため、オランダイチゴと言いました。
野いちごは枕草子にも出て来るほど古くから日本にありました。

イチゴは他の植物と一緒に植えても影響を受けずに美味しい実をつける事から、ヨーロッパでは正義の象徴と親しまれました。
江戸時代に日本に入ったイチゴはすぐには馴染まず、明治政府による洋野菜の奨励を経て、20世紀に入ってからようやく全国で栽培されるようになりました。明治32年、当時の新宿御苑苑長がフランスから取り寄せた「ゼネラル・シャンジー」種から新種「福羽」の育成に成功し、これが日本で最初に育成された品種。ハウス栽培や石垣栽培でドンドン増えて後の促成栽培用の品種はすべてこの福羽の血を引いています。

今では真夏を除いてはほぼ1年中出回っていますが、5〜7月の路地物はほんのわずかで、作付け面積の82%、生産量の93%がハウス栽培に頼っています。イチゴは実を1つ1つ手で取るしか収穫方法がないので、これが解消されたらとんでもなく出荷量が増えるのかもしれません。

子どもの頃、イチゴ1パックというと500gくらい入っていましたが、最近、レシピを打っていて、1箱と書いたのは良いけど思うほどイチゴの味が出ず、計量してみたら300gになっていました。中には250gしか入っていないものもあり、なんだかなぁ、、、
安いと思った特価はグラムで調整されてもいたのか、と軽いショックを受けた2010年の春でした^^;

<栄養>
なんといってもビタミンCが多く、大粒のもの4粒くらいで一日に必要なビタミンCを摂取出来、レモンの可食部分より多い事になります。
路地物、ハウスもの共にビタミンCの量は変わらず、イチゴの場合は冷凍してもあまりビタミンCに変化がないようです。以外と食物繊維が多く、血中コレステロールのコントロールに役立ち、昔のようにイチゴを半つぶしにして、牛乳をかけて食べるというのは、風邪のウィルスと闘う成分が出来るらしく、花冷え、春風邪には民間療法として使われていたようです。イチゴの赤い色はアントシアニン。免疫力アップが 期待出来るようです。

見分け方
なんといってもヘタが元気であること。入っている容器をそーーーと持ち上げて底からのぞいて、青いものが入っていないか、潰れたものがないかをチェックしましょう。ハリがあって、ツヤツヤしていてみずみずしさの感じられるものが新鮮です。

保存方法
買って来た日の内に食べない時は、ヘタを取って冷蔵庫へ。ヘタがない分ビタミンCの減り方が少なくなります。
また、砂糖をまぶして冷凍しておき、そのまま火に掛けてジャムを作っても良いでしょう。
少々元気がなくなったイチゴは35度前後のお湯につけるとなぜか、表面がイキイキと戻ってきます。きっと表皮の内側のペクチンが温度で緩んで、形を再生するからかもしれませんね、お試しを。

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<アサリ>

名前の由来は、春先に旨味をたっぷり含んだ貝を、皆、競うように「漁る(あさる)」から、アサリと。

淡水が流れ込む朝潮の砂泥域を好み、深さ5cmくらいの中に住んでいます。
江戸時代よりも前から、殻付き、むき身共に庶民の惣菜として欠かせないものでした。中でも江戸の下町深川を発祥の地とする「深川丼」、昭和のはじめ頃まで浅草に屋台が出ていたそうです。

日本全域、フィリピン、シナ海に分布しています。
旬は産卵前の春と秋と年に2回ありますが、産卵期の夏だけは避けた方が良いでしょう。

見分け方
殻付きのものは生きている事が原則です。俗に舌と呼ばれる斧足部分がよく動くもので、小ぶりのものは好き好きがありますが、食べ難いという点ではおススメが出来ません。

やや殻があいている状態の時に殻の上からコツンと指先ではたいて、しっかりと殻を閉じるものは生きている証拠。
むき身の選び方は身が張って弾力のあるもの、ツヤの良いものがおススメですが、濁った白い汁がたくさん出ていたり粘り気のあるものは避けましょう。

<保存法>
砂を抜きながら保存をします(マル秘テクニック参照)、ザルに入れて海水の濃度の塩水をいれたボウルで下を受け、貝がギリギリ漬かる程度の水の量にします。キッチンペーパーを上にかけておいて、勢いよく吐いた水で冷蔵庫内が水浸しにならないようにしましょう。

<栄養>
プロテインスコア87と高く、ミネラルでは鉄、胴、亜鉛が含まれており、鉄は貧血に、胴は赤血球のヘモグロビンを作るのに必要、亜鉛には体の回復力を高め、子どもの成長には欠かせない成分が含まれています。

高血圧や糖尿病の予防にも効果があるとされるクロム、貧血症状をやわらげるとされるコバルトが含まれています。コバルトはビタミンB12の一成分ですが、内臓にビタミンB12やB2が多く、ハマグリと似ているだけに成分も似ているのですが、ハマグリには含まれないビタミンAが含まれています。

その他にアミノ酸の一種「タウリン」も含まれています。ビタミンB群、タウリンは水溶性なので、汁ごと食べられる料理にしましょう。

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<アスパラ>

グリーンアスパラとホワイトの2種類があります。ホワイトに日を当てたものがグリーンですが、味も栄養もグリーンの方がうんと増えます。日本で栽培が始まったのは大正12年、北海道の岩内で、収穫後もすぐに変化をしてしまうホワイトが主流だったため、缶詰にされて出荷されていました。
昭和になってもまだ、庶民の食卓に登場させられないくらいに高価なものでしたが、昭和30年代後半からグリーンアスパラが市場に出始めて、家庭の食卓になじんで来たようです。
地中海沿岸が原産地で、古代ギリシャの時代から栽培をされて、自生のものも含めて、薬用として利用されていました。

見分け方
緑色が濃く、穂先のしまったものが良く、切り口をみて乾いていないものが良質です。
切り口から上にしっかりと見て、切り口に近いところがしなびていたり、渇変しているものは古く、繊維質も強くなっていますから色と外見のハリのなさはしっかりと見落とさないようにしましょう。

<保存法>
なるべく購入したその日に召し上がるのが理想的。日をおくと段々と繊維質になって、味もぐんと落ちますから。
あえて保存するなら、ラップにしっかりと包んで、野菜室に立てて保存するようにしましょう。穂先のほうから腐り始めますから、穂先の変化を見落とさないようにして下さいね。

<栄養>
アスパラガスはアミノ酸の一種であり、旨味の素でもあるアスパラギン酸を穂先に多量に含んでいます。アスパラガスから発見されたので、この名前がついたのですが、豆類やジャガイモにも多く含まれている成分でもあります。アスパラギン酸は細胞分裂など代謝に必要な物質で、疲労回復、スタミナ強化剤としても使用されています。

また、穂先には血管を強化し、高血圧の予防に効果があるといわれる糖質成分のルチンが多く含まれています。ルチンには利尿効果もあり、アスパラガスの利尿効果はローマ時代から知られていたとする文献もあります。
ビタミンAも、ホワイトよりもグリーンの方が多く、赤血球を作る働きの葉酸や鉄も多いので、貧血防止にもなるようです。
その他には、ビタミンB1,B2、E、C、ミネラルのカルシウム、カリウムなどを多く含みます。

栄養を殺さないためにもなるべく手早く加熱をします(ぐらぐらと煮込まない)。
また、食べやすいサイズに切ってからですと水溶性の成分が出てしまいますので、なるべく1本のままの加熱を。

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<鰹>

「日本書紀」に、景行天皇の時代(71年〜130年)に鰹が献上されたと記述があるくらい古くから食されていた鰹ですが、傷みが早いために獲れた鰹は干すか火を通したものになっていました。
加熱したり干したりするととても硬くなる魚なので「カタウオ」と呼ばれ、これが段々と訛って「カツオ」に変化したと言われています。
カツオは「勝つ魚」という字が当てられて、「北条五代記」には、天文年間(1532〜1555)北条氏綱が小田原沖でカツオ漁を見物中に、一尾のカツオが飛び込んで来て、戦いに勝つ魚が飛び込んできたと家来共々大喜び。実際に、その直後の武州の兵との合戦で、氏綱軍は圧勝。以来、氏綱は出陣の際には必ず鰹を供するようになったとか。

鰹は世界中の温暖な海域に広く分布し、巨大な群れを作って回遊し、日本近海には3月に九州近海、黒潮の勢力が増すとともに、4〜5月にかけて、紀州沖から千葉沖へと更に7月から8月にかけて三陸から北海道へと日本列島に沿って北上します。
イワシやアジをエサとしながら回遊するのですが、十分に栄養をつけると9月の始めには産卵のために南の海へ帰っていきます。

江戸時代にはとても高価な魚で、「嫁を質にいれても 初鰹」 とか、「俎板に 小判1枚 初鰹」(室井其角)などと詠まれ、天明の頃の初鰹の値段は1本2両3分、下級武士の年収に近い額でした。 それでも初物を食べると寿命が75日延びると信じて疑わない江戸の男達に女房は質に入れられた!?

鎌倉時代になると生で食卓に上るようになりました。
初夏に北上していく上り鰹、襟裳沖でUターンする9月11月の戻り鰹、好みの別れる所です。

<栄養>
時速60km、最高速度100kmで回遊するので、良質のたんぱく質がたっぷりと含まれていて、本マグロの赤身に次ぐ含有量。骨粗鬆症の予防に関連するビタミンDも、お刺身を少し多めにたべれば、一日の含有量の摂取出来たことになってしまうほど。ビタミンB群、各種ミネラル、動脈硬化を防ぐ不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘイサエン酸)、アラキドン酸、タウリンなど老化を予防したり、脳の活性化したり、、、貴重な栄養素が豊富に含まれています。

また、血合い部分には、ビタミンB12や鉄が多く、動物のレバーに匹敵。ビタミンB12はたんぱく質の代謝を促進する神経機能を正常に保つ働きの他、悪性貧血の予防、改善にも需要菜ビタミン。
初鰹よりも戻り鰹の方が脂肪の含有量が多いので、ビタミンA,D,EPA.DHAなども豊富になります。

選び方
背中側の模様が青紫のきれいな色をしていて、縞目がはっきりとしているものが新鮮です。また、おなかの部分の銀色がかがやかんばかりで、ぷりっと張った状態のもの、エラが赤いものが良いでしょう。

といっても、1本まるごと仕入れる人は少ないのでしょうから、刺身のサクであれば、血合いの色が赤身を帯びているもの(ふるいものは黒ずんでいます)、ドリップがあまり出ていないものに。よく売れているお店で購入されるのもひとつの手かもしれません。

<保存法>
鮮度が低下するとヒスチジンによって、中毒を起こしやすくなりますので、なるべく早く召し上がって下さい。
切り身にしても冷蔵庫で2日間くらいは保存出来ますが、傷みが早いので、その日の内に食べられないものはきっちりとラップで包んで、冷凍保存して下さい。といっても、1ヶ月くらいが賞味期限です。

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<キャベツ>

元々はヨーロッパの断崖絶壁に生えていたの野生の植物で、結球もせず、ケールという葉菜でしたが、長い年月を経て、世界各地に渡り、土壌や気候に応じて、品種改良をされて今のような結球になりました。

キャベツと呼ぶ前はた球菜(たまな)とか、甘藍(かんらん)と呼ばれ、ケールからキャベツにいたるまでに改良されたものは、茎をカブのように太らせたコールラビ、つぼみを食用にしたブロッコリー、カリフラワー、茎に連なって出来る芽キャベツなど種類も豊富に改良されました。古代ギリシャのピタゴラスはキャベツは元気と落ち着いた気分を保つ野菜であると効能をたたえていますが、キャベツはヨーロッパでは古くから医薬用に使われ、ローマ時代に書かれた「プリウスの博物誌」には、胃の薬、便通財としてのほか、87種もの効能が書かれているほど。

春に出る葉の柔らかいものが春キャベツ、結球の硬い肉厚のものが冬キャベツ、葉がちりめん状になっているものを「ちりめんキャベツ」、葉が柔らかく小型のものを「グリーンボール」、紫色の紫キャベツなどがあります。

<栄養>
キャベツに豊富なビタミンCは風邪の予防効果、美肌効果、疲労回復効果などのほか、癌予防なども期待されています。緑色した外葉にはβ カロテンが多く、癌抑制作用を期待され、更にフェノール系抗酸化物質も含まれているので、活性酸素を除去し、癌を抑制するとも期待されています。キャベツ独特の栄養ビタミンUはキャベジンという薬を生んだほど、粘膜の強化、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防する働きや、脂肪肝の予防、肝臓の解毒作用まであるという優れたビタミン。その他にカルシウム、食物繊維なども豊富で、血液の凝固を助けるビタミンKも含まれています。

選び方
春キャベツは巻がゆるいものを。緑の葉の部分も美味しく食べられる春キャベツですから、イキイキとした緑の葉がついていて、株の下の切り口が新鮮なものを選びましょう。朝露で水滴が球になっている路地ものも上質です。
冬キャベツは巻がしっかりとして、重量感のあるものが良いでしょう。どちらにも共通して言えるのは、丸ごと購入するほうが良いということ。キャベツの特徴ビタミンCの多さは切り口から失われてしまいますから、千切りにした野菜を購入するなどもっての他です。

<保存法>
株の部分を少しくぼませて、水を含ませたキッチンペーパーを詰め、乾いた新聞しかキッチンペーパーで簡単に包んでから、ラップで包んで野菜室にいれましょう。

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<鰤>

出世魚と言えば、鰤(ぶり)!地方によって呼び名は違いますが、東京では15cmまでをワカシ、40cm前後をイナダ、60cm前後をワラサと呼び、90cmでようやくブリと言います。

関西では、ツバス、ハマチ、メジロ、ブリの順。最近では養殖が盛んになったために、天然ものをブリ、養殖物をハマチと呼んで区別する事も多いようです。 ブリの語源は、脂肪が程よくのり、炙り焼きにすると美味しいので、「あぶり」と「あぶら」が訛ったという説が一般的です。鰤という漢字は師走の頃に美味しい魚である事から、魚へんに師走の師をつけたとされています。

鰤は絶えず、えさを求めて回遊し、産卵場所は本州中部よりも南の海域とされ、3〜4月が産卵期です。孵化した卵は2〜3ヶ月は流れる藻について浮遊し、やがて群れをなして北へ向かい、回遊を始めます。
夏には15cm前後に成長し、北海道南部に泳ぎ着き、秋、水温が下がり始めると南の海に回遊していきます。
生まれた翌年の夏には再び北上、カムチャッカ半島近海まで行き、冬、親ブリが腹に数十万粒の卵を抱えて産卵のために南に下がっていきます、これが「寒ブリ」です。

 寒ブリは産卵のためにアジ、イワシ、サンマ、サバ、イカなどを貪欲なまでに食べるために、脂がのって美味しくなるのです。因みに養殖のハマチを1kg太らせるのに、8kgのイワシが必要になるそうです。
ブリは古くから日本人に食され、江戸元禄時代の「本朝食鑑」にも、「当初、丹後の産をもって上品とし、越中の産これに次ぐ」とあり、また、「大和本草」にも、同様の記述があり、山陰、北陸が昔からブリの産地だったようです。

現在では、富山湾の寒ブリは「能登ブリ」と呼ばれ、日本一と言われています。能登では、冬が近づく11月末頃から、みぞれ混じりの風雨ととに鳴る雷を「ブリ起こし」と呼び、この大荒れの天気がブリ漁の初漁や豊漁の合図とされていました。
出世魚のブリは、スズキやボラと同様に、祝い事やハレの日の料理に使われて来ました。

関東以北では、塩鮭がないと正月が迎えられないと言いますが、北陸、関西では「塩ブリがないと〜」と言い、お正月の雑煮にも使っていました。 また、仲人や妻の実家への年末の贈物として、ブリが使われた地方もあります。

<栄養>
ブリの美味しさは寒ブリに尽きます。他の季節と比べると、ヒスチジン、アラニンなどのアミノ酸や、その他の栄養分多く含まれます。
特に期待出来るのは、血中コレステロール値や中性脂肪を低下させたり、痴呆を予防したりするEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、アラキドン酸、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、貧血気味の人には鉄、血圧やコレステロールの正常化、肝機能の強化に役立つタウリン、ビタミン、ミネラルは血合いに特に多くて動物のレバー並みです。

養殖ものも天然に劣らずに栄養を含んでいますが、ビタミンの含有量では天然の方が勝っています。体に有用な脂肪をたくさん含んだ魚ですから、緑黄色野菜と摂取すると脂肪の酸化防止に役立ちます。

見分け方
一尾丸ごと買われる方は一般家庭ではないのでしょうが、お魚の共通点、目とツヤ、おなか部分のハリを見分けます。獲れたては身がしまって美味しいものですが、少し時間が経った方がヒスチジンが増えるために、味がよくなります、といっても、これも私達がスーパーで購入する頃には、かなり時間が経っているので問題なし。

切り身で購入される場合は血合い部分の色が変色していない事。古くなるほど色が薄い茶色に変化し 新鮮なものはレバーのような色をしています。切り身が並んでいるトレイに、ドリップ(肉汁)が出ていないものを選びましょう。

<保存法>
血合いの色が変色するので、切り身を購入して来たその日の内に召し上がれない時は、冷蔵庫に保存しないで、1つ1つピッタリとラップに包んで冷凍します。翌日に食べるからと漬け汁に漬けたままですと、身はパサパサになり、食感だけでなく、旨味も減ってしまいますから、味付けタレに漬ける場合は、調理の直前に。(丸秘テク 美味しいブリの食べ方参照) アラは買って来たその日の内に熱湯をかけておきましょう。翌日に使うとかなり生臭くなってしまいます。

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<白菜>

白菜はとてもなじみ深い野菜なので、古くからあったように思いますが、実は大正時代半ばからの新参者です。

アブラナ科のツケナ類に属し、キョウナ、コマツナ、カブなどの仲間。北欧起源のアブラナは、中・南欧を経由して中国に入り、たくさんのツケナ類に分化し、ハクサイとなりました。 最近の研究では、7世紀頃に華北のカブと華南のパクチョイ(チンゲンサイ)を交配して出来たものがハクサイの原型であるという説が有力になりました。この頃は牛肚菘と呼ばれるもので結球はしてなくて、徐々に進化して、18世紀になってから、大白菜(ダァパイツァイ)となりました。ハクサイは幕末に一度日本に入って来たものの、本格的に導入されたのは、明治8年、清から来た山東ハクサイ。持ち込まれて、勧業寮内新宿試験場(今の新宿御苑)では失敗に終り、愛知県植物栽培所で成功し、後の「愛知ハクサイ」の誕生につながりました。

日清・日露戦争を通じてハクサイは知られるようになり、朝鮮、華北、満州地方へ出征した兵士らが、見事なハクサイを見て驚き、中には種を持ち帰る者もいて、その中の一人が仙台の宮城県立農学校に寄付したハクサイの種子は、後に日本の代表品種になった「仙台ハクサイ」です。ハクサイは他のツケナ類と自由に交雑する事を知らなかった当時は、種子採りが上手くいかず、結球するものが少なかったので、大正中期までは中国から種子を輸入していました。輸入種子はとても高価だったので、研究者達は続けられず、離島で隔離して栽培し、ようやく純粋な種子を得られ、大正末期になってようやく出荷されるようになったそうです。最近では、カブとの交配種で、葉が黄色のサラダに適した「オレンジクィン」が人気になっています。

見分け方
ハクサイは96%が水分で、栄養価が高いとは言えませんが、外葉ほど栄養価が高く、ビタミンCはみかんと同じくらい、カルシウムはセロリや人参と同じくらい含まれています。その他、β-カロテン、マグネシウム、鉄、食物繊維が含まれていて、ビタミンCやカリウムは水溶性なので、ハクサイの料理の代表鍋料理では、煮汁に栄養が流出していますから、鍋の具が終わってから、雑炊で煮汁ごと召し上がるのは理にかなったことです。

<保存法>
丸ごと購入して来たものは、新聞紙で包んで乾燥を防ぎ、陽の当たらない風通しの良いベランダなどの外気に触れるところで保存が出来ます。カットされたものなら、ラップでしっかりと包んで、断面を下にするか、立てて保存します。
日持ちのする野菜ではありますが、古くなると味も落ちて来ますから、早めに召し上がって下さいね。

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<蟹>

蟹の語源は、カは甲羅、殻のカ、二は雲丹の丹(に=赤)と同じで、甲が赤い→甲赤(かに)からきたとよくわかんない語源が言い伝えられています。私達の食卓に上る一般的なカニは、ズワイガニ、ケガニ、タラバガニで、東京近郊の浅瀬や砂地に住むひし形の甲羅をしたガザミ(群れをなして移動するのでワタリガニとも)ですね。
カニ類は脱皮するごとに成長し、メスは脱皮直後に交尾をし、オスの精子をためる袋に入れ、自分の卵が成長するまで受精しないで持ち続け、卵が成熟すると袋の中の精子と受精し、その受精卵を更に約1年間、おなかに抱えています。これを外子と言います。
  1年を過ぎると卵から孵化しますが、この時期の子をゾエア幼生期といい、その姿は親とまったく似ていないのです。
ゾエアは海中を泳ぎながら、脱皮を繰り返し、やがて少しだけ親に似たメガロバ幼生となり、海底に沈んでやっと稚ガニとなります。カニのメスがオスの半分もないのが多いのは、産卵のため、成長する脱皮回数が少ないからだと考えられています。
  タラが生息する海域にいるタラバガニは、ハサミが1対、足が3対しかないので、ヤドカリに分類されており、タラバガニのオスはメスが脱皮する時、メスのハサミを自分のハサミで抑えて脱皮を手伝い、脱皮後の柔らかいメスの体を包み込むような体勢を取り、体が硬くなるままの10日〜20日の間、メスを守ります。
って、羨ましい話ですね〜^^;

と、カニは万葉の昔から、食べられていて、その頃はサワガニなどの淡水の小型のカニを塩と一緒に突き潰していわゆる塩辛のようにしていたようです。江戸時代になると、焼きかざめと言って、ガザミ料理が出来てきて、庶民にも根付いていきました。 ズワイガニ、タラバガニ、ケガニなどの深海の大型種は、漁獲技術が上った明治時代になってからでした。 缶詰にされ、国内よりも海外へ出し、外貨を獲得していたようです。

ズワイガニは私達が食す大きさになるのに、オスは20年、メスでも約10年かかります。

<栄養>
滅多に食べられませんが、甲羅には不飽和食物繊維のキチンが豊富にありますので、幼カニを工夫をして甲羅も食べるようにすると自然治癒力が上るようになります。
タウリンが豊富で、血中コレステロール値を下げたり、胆石を予防したり、血圧を下げ、肝臓や心臓の働きの強化にもなります。 、また、カルシウムや亜鉛も多く、身の赤いところにはアスタキサンチンが多く含まれ、免疫力を高めたり、ゼアキサンチン一緒に摂取すると目の栄養にもなるとの学会発表もありました。
これらの栄養を一番に生かす料理方法は酢の物や味噌鍋などで食べることですが、体に影響のある食べ方は一番は美味しく食べること、二番は通常の量では、あまり期待出きる効果を実感出来ないので、恒常的に食べる事をおススメします。
カニの身はカロリーが低いのも嬉しいですね。 ズワイガニのオスの足には、魚介類中でトップの甘さがあります。
旨味(アルギニン、グルタミン酸などのアミノ酸、ベタイン、ホマリン、アデニル酸、グアニル酸など)も多いので、濃い味付けよりも薄い味付けで、たっぷりと召し上がって下さい。
ただし、カニのミソ(肝臓)は、美味しい美味しいものですが、食べすぎに要注意。通風などの持病だけじゃなく、アトピーや喘息を悪化させる場合があります。

見分け方
足やハサミが揃っているのが良いのですが、カニ本来の味には関係のないこと。
欠けた足の穴から、水が入って来た分味が変化する事もありますが、他の足は美味しくいただけるのですから、何も姿ばかりにこだわる必要はありません。 持ち上げてみて、ずっしりとした重量感のあるもの、足の裏側のやや柔らかい甲羅を押さえてみて、空洞を感じるものは避けましょう。
見分けられない時は、よく売れているお店で、がどの食材にも共通する選び方でしょうか。

<保存法>
生は早めに加熱をします。加熱をしてから、冷蔵または冷凍で。
冷凍のものは再冷凍すると味と食感の劣化が激しいので、冷蔵庫で早めに食べるか、身を取り出して、すぐに使えるようにして保存し、卵焼きや茶碗蒸し、ご飯、豆腐のあんかけなどに早めに使いきりましょう。
旨味成分が多いので、失敗のない料理が完成します。

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<ほうれん草>

ほうれん草には西洋種と東洋種があり、一般的に東洋種は葉が細長くて、先がとがっていて、葉に切れ込み
があり、種子はトゲのある金平糖のような形で、西洋種は葉が肉厚で縮れていて、葉柄が短く、種子は
トゲのない丸型をしています。 この2種は原産地のカスピ海沿岸のトルコ東部・イラン北部一帯から西と
東に分かれて伝播して分かれたものです。
ペルシャからアラビア、アフリカ北部、スペインを経て15世紀以降、ヨーロッパ全域に広がり、その間に品種改良されていったのが西洋種で、その後、アメリカに渡り、アメリカでは19世紀になってから主に缶詰加工品の素材として広く栽培されるようになり、東洋種はペルシャからシルクロードを通って中国に入って来て、中国では原産地の地名から、波斯草(ペルシャソウ)、ネパールの渡来地の地名から菠薐(ホウレン)、菠菜(ホウナ)と言います。
東洋種は積極的に改良をされなかったので、原種に近いものです。
日本には約400年前、江戸時代の初期に中国から東洋種が持ち込まれ、明治になって西洋種が入った来ました。
西洋種は大味で、土臭く、おひたしくらいしか食生活に入り込めず、東洋種が主流でしたが、昭和になると東洋種と西洋種の交雑品種の「豊菜」や「次郎丸」が登場し、主流品種になりました。
ところが、べと病といって、葉が黄色くなってかびてくる伝染病が現れ、在来種(東洋種)や混血種も感染に負け、一時期ホウレンソウは農薬漬けになりました。 そこで、研究され、昭和47年にべと病に強いアトラスが生まれ、べと病の血統1、血統2に強いビロフレーという品種や、秋撒き栽培向きのソロモンなどを育成。
今では、純粋な東洋種は日本では自家用程度になりましたが、中国では今も東洋種です。

ホウレンソウはマイナス10度にも耐えられるほど耐寒性の強い野菜ですので、高温に弱く、25度以上になると立ち枯れ病になって枯れてしまいます。 今では一年中出回っていますが、元々は冬の野菜。寒さを経験して甘みが増すので、冬のものを召し上がると栄養も高い状態で摂取出来ます。



<栄養>
ビタミンA、B1、B2、Cをはじめ、カルシウム、鉄、カリウム、マンガン、葉酸などがたっぷり含まれて、緑黄色野菜の代表格。特にビタミンAは100g中1700IUと、パセリや人参にはかなわないものの、栄養のバランスと食べやすさでは是非ともの食材です。
一日100g摂る事で、一日に必要なビタミンAとビタミンCの全量を摂取出来ます。
カルシウムとともに骨の形成に役立つマグネシウムが多いのも特徴の1つ。緑の葉にはコレステロールの低下作用がある葉酸(クロロフィル)という色素が含まれ、冬場の濃い緑のホウレンソウの方が栄養価も高くなります。

見分け方
緑の葉が濃く、元気が良く、葉肉に厚みがあり、冬場は特に葉にツヤのあるもの。
葉に比べて茎が育ちすぎているものは味が薄く、栄養も劣ります。刃先が変色したり、葉がしなびたり、根が干からびているものは避けましょう。

<保存法>
すぐに召し上がるのが一番ですが、濡らした新聞紙に包んでからラップかポリ袋に入れ、なるべく空気を抜いて、野菜室に立てて(根を下に)保存するようにします。たくさん頂戴した時は、硬めに茹でて冷凍するか、ピュレにして冷凍してホワイトソースに混ぜたり、スィーツ作りにお使いになると良いでしょう。

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<牡蠣>

消化の良い栄養がたくさん含まれているので、海のミルクと称される牡蠣は世界中で好まれています。 日本には約20種類の牡蠣が生息し、卵生(マガキ、ケガキなど)と、胎生(イタボガキ、イワガキなど)があります。牡蠣は雌雄同体で、環境や栄養状態で性転換をしますから、例えば、環境や栄養状態が良くなければメスがオスになったりするわけで、昔はオスが多かったので、牡という字が 使われたという説もあります。

牡蠣は貝塚からもたくさん発見されていますので、かなり昔から、食用にされていたようです、平安京の古墳から「献上蠣一籠」と書かれた本が出土しており、「古事記」や「延喜式」にも『伊勢より蠣及び磯蠣を進む」とあるほどです。
古代ローマ時代、ジュリアス・シーザーがドーバー海峡を渡り、イギリスに侵攻したのは、シーザーが牡蠣が大好きで、テムズ河口の美味しいと評判の牡蠣を確保したかった という説があり、ナポレオンが度々戦争を起こして隣国の海岸線を侵略したのは、フランス国民に牡蠣を確保するため だったという説まであり、一度に食べた記録では、ドイツ提督ビスマルクが175個、有名な「美味礼讃」でブリア・サヴァランは裁判所のラベルトという書記官が32ダース、384個を食べたと記しているほど、ヨーロッパでは美味しさとその栄養の豊富さ、スタミナ源としての役割もあったのです。

牡蠣は紀元前1世紀にイタリアのナポリで養殖が始まったという記録があり、日本では広島が1670年頃、漁師の小林五郎左衛門がアサリやハマグリを備蓄するために竹で生簀を作った所、偶然これに付着した牡蠣が成長しているのが発見、養殖の始まりとなったようです。現在の牡蠣の養殖法は6月〜7月に産卵して浮遊している幼生を採苗して、ホタテ貝の殻に付着させ、養殖いかだで吊り下げているそうですが、1年後、1つのホタテに2〜10個育ちます。

<栄養>
ビタミンB群が特に多く、ビタミンA、C、Eなども含まれ、ミネラルではカルシウム、鉄、胴、カリウム、ヨウ素、亜鉛など。中でも、血管の健康維持や味覚傷害に有効とされる亜鉛の含有量は群を抜き、牡蠣5〜6個で一日の必要量を満たし、たんぱく質は100g中に必要量の2/3、カルシウムは1/3、リンに至って必要量善良が含まれ、鉄分、ヨードは必要量の約4倍。
スタミナ源となっているのはコラーゲンで、体内の毒素を分解するグルタミン酸やシスチン、血中のコレステロール値を下げるタウリン、美味しさの秘密はグリコーゲンとコハク酸、甘みのあるアミノ酸グリシンが含まれているなど、健康のための必需品とも言えますね。

見分け方
殻付きは生きているもの(わかり難いので、開けてからでしょうか)を、重みがあるものぐらいでしょうか。剥き身は加熱用は乳白色で光沢があり、ふっくらとして、傷のないものを、生食用は水に漬かっていますので好みの大きさで選ぶ程度でしょうか。

<保存法>
剥き身になるととても痛みやすいので、加熱処理する場合でもなるべく当日中に利用するか、加熱して保存をして置きましょう。殻付きの場合は冷暗所で数日、鮮度の良いものなら1週間以上生きていますが、過信はしないようにして、なるべく早く召し上がって下さい。殻付を冷蔵庫で保存される時は、ぬれた新聞紙で包むなどして乾燥を防ぎますが、呼吸が出来るようにラップで覆ったり、密閉容器に入れたりはしないで下さいね。

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<ネギ>

ネギの原産地は中国西北部からシベリアにかけてとされていますが、野生種は発見されていません。
中国では2200年前から栽培されていたようで、6世紀になると葉ネギと根深ネギの2種類があったようです。「日本書紀」には秋葱という言葉があるので、奈良時代以前にあったようです、ネギの特有のにおいから、息または気を語源として「き」と呼ばれました。宮中の女房言葉でニラを二文字というのに対して、ネギは一文字と呼ばれ、「本草和名」や「延喜式」でもネギについて書かれているので、相当古くからあった事は事実ですが、一般的にネギやニンニクなど強い臭いを持つ植物は魔除け、厄除けに使われる事が多ったようで、寺社の廊下や欄干の飾りについてる犠宝珠は葱坊主を模ったものと言われています。
寒さ、暑さに強く、栽培が簡単な事から、日本全国に普及し、日常的に使われていますが、関西では主に緑の葉を食べる葉ネギが栽培され、関東では白い根深ネギが栽培されています。これは、葉ネギが暑さに強く、根深ネギが寒さに強いということも関係しますが、一番は土壌に関係し、 関東の土は耕土が深く地下水位が高い畑地であるのに対して、関西は粘着性があって、根深ネギに適さないようです。
江戸ネギと呼ばれる千住群、東北、北陸、山陰の加賀群がありますが、葉の色によっても分類され種類もたくさんあります。下仁田ネギは茎が太くて、柔らかくて人気ですが、加賀群で、将軍家に献上されていたので殿様ネギとも言われています。葉ネギの関西、根深の関東の分かれ目は愛知県にあり、愛知で作られているのが、九条ネギと千住の中間型の越津ネギ。葉も茎も長い品種です。九条ネギは京都の東九条で生まれたネギですが、万能ネギというのはこの九条系のネギを早取りしたもので、品種名ではなくて、ブランド名です。他に8cmほどに成長したのを収穫するのが「芽ネギ」、もう少し延びたものを鎌で刈るようにして収穫したものが「刈葱(かれぎ)」などがあり、ふぐのてっさに使われている事が多いですね。

<栄養>
栄養価は緑が多い分、根深よりも葉ネギの方が高く、根深はビタミンC、カリウム、カルシウムなどを含みますが、葉ネギはβ-カロテン、ビタミンC(根深の倍)、カルシウム、鉄が豊富な緑黄色野菜となります。根深ネギの中でも下仁田ネギだけは別格で、葉も食べられる事とミューシンというたんぱく質を含んでおり、通常のものよりも3倍近く栄養があります。
どちらにも共通するものはアリシンで、ビタミンB1の吸収を高めますから、疲れた時などはビタミンB1の多い豚肉との摂取がおススメ。アリシンは揮発性なので、長い加熱調理は避けます。ネギのネバネバは皮膚や粘膜の保護作用になり、硫化アリルの制菌作用と相乗的に働き、やけどや切り傷を 早く直すことも期待されています。昔から風邪を引いたら焼きネギにして梅干と一緒に入れたお湯を飲む、、、とか、刻んだものをガーゼで包んで首に巻く、、、など、化学のない時代にも関わらず、ネギの薬効が民間にも知られていたようです。

見分け方
葉ネギは緑の部分がイキイキとして濃く、白い粉をふいているほど成熟しているものを。根深ネギは表面にツヤがあり、硬くしまって丸みが均等なもの(手で触ると茎が硬く感じられるものが良質です)。表面に皺があったり、触った感触がふかふかしているものは避けます。

<保存法>
刻んでしまったものは冷蔵庫で3日、冷凍庫ですと数週間。葉ネギや泥付きネギは新聞紙などにくるんで、この時期はベランダなどの直射日光のかからない所、冷暗所などで常温で保存が出来ます。通常の根深ネギはラップに包んで野菜室に入れますが、根と上の緑の所を落としておいたほうが、 成長が止まるので、落とさないものよりは少し長持ちします。

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<栗>

ブナ科クリ属に分類され、原産地は中国、北アメリカ、地中海沿岸地方です。
英語でマロンと言いますが、マロンとは本来、トリノキ科のマロニエの実の事で、マロニエの実でマロングラッセを作っていましたが、後になって栗で代用するようになり栗がマロンになったという説があります。

栗は大きく分けて4つの種類があります。国内で売られている一般的なものは「ニホングリ」、天津甘栗として売られているのは「チュウゴクグリ」、マロングラッセが代表の「ヨーロッパグリ」で、こだわったショップなどに「アメリカグリ」があります。

日本でおなじみのものは、殆どがスィーツですが、栗のホクホク感を美味しさに利用しないイタリアのポレンタという、おかゆのような蕎麦掻のような料理もあります。
ヨーロッパでは、乾燥させて小麦粉の代用のように使っていた名残かもしれませんね。

ニホングリは野生のシバグリを品種改良したもので、果実が大きく風味が良いのが特徴。やや甘みが少なく、渋皮がはがれにくいのが少々扱いにくい点でしょうか。

中国栗は甘さが十分で渋皮もむきやすいのですが、クリタマバチの被害を受けやすく、ニホンでは栽培されていませんが、天津甘栗の原料として使われているのは「板栗(バンリー)」という品種。ヨーロッパグリは小ぶりで渋皮が剥きやすく甘みもありますが、病気や害虫に弱いため日本ではこれも栽培されていません。最後のアメリカグリは大きくて甘くてと品質が良いのですが、木は木材としての利用価値の高いものでしたが、100年ほど前に、栗胴枯れ病になり、一部の地域で栽培されているものを除いては壊滅状態になりました。

<栄養>
可食部分は種子の子葉という部分です。
主成分は糖質で、水分が約60%程度。たんぱく質や資質、食物瀬に、ビタミンB1、C、カリウムが多く含まれています。 糖質が主成分という事と栄養バランスの良さで、幼児〜高齢者、疲れ気味の方には特に必要な滋養強壮剤と言っても良いほどです。

購入後、すぐに冷蔵庫のチルドルームに入れ(丸秘テクニック参照)、冬を感じさせてからボウルに入れて熱湯に漬け、一晩たったら鬼皮と渋皮をむきます。
渋皮には非常に強い免疫成分が含まれていますから、全部をキレイに取り除いてしまわずに所々に筋のように残されると、栗ご飯では少しだけ色が悪くなりますが、味の変化も殆どなく美味しく健康的に召し上がって頂けます。

見分け方
木の実は乾燥させてあっても、加熱しない限り生きていますから、木から離れてしまう子葉が栄養を春の芽吹きまで蓄えながらも、40%程度の水分で生き延びようとしますから、ツヤがなくなって、鬼皮がへこんできたり、白っぽくなって、ツヤがまったくない状態になります。

形としては丸みがあって、膨らんでいると自ら膨れて殻を割ったもの、すっきりとした形のものは、 収穫の時に完全に割れないものをこじ開けての収穫。という事は、丸みを自分で作ってはじけた栗の方が、子孫を残す準備(冬を乗り越える糖質を十分に蓄え終わった)が出来たということですから、ホクホクで美味しい味わいがあります。
また、下の色がやや薄くざらついている部分が変色したり、シミのようなものがあるものはかなり古いものです。また、虫もこの部分から入りますので、健康な栗かどうかよく見極めて下さいね。
瓶入りの甘露栗はくちなしの色がつけられていますが、古くなると栗がグレーに変色してきます。

<保存法>
昔は水分を含ませたおがくずの中で保存すると良いといわれていましたが、今時、おがくずなんてありゃしない。1週間〜2週間程度ですとチルドルームに、数ヶ月の保存であれば、皮をむいて加熱してから、冷凍を。

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<サバ>

サバは年がら年中あるように思われていますが、秋が旬。

「秋サバは嫁に食わすな」「サバの生き腐れ」「サバを読む」などと、昔っから伝えられるサバは美味しさ故に嫁いびりの片棒を担がされ、どんな魚よりも早く腐りやすいのをそしられ、大量に取れて数が数えられないからでしょうか、誤魔化すことに例えられたり、毀誉褒貶がつきまとう魚です。

サバの語源は他の魚に比べて、歯がとても小さいことから「小歯」(サハ)、サバは群れているので古語のサハ(多いという意)から訛ったという説が一般的です。
サバは沿岸各地に広く分布していますが、岸近くに生息しているマサバと、沖合いに群れを成すゴマサバの2種類が出回っています、美味しいサバを選ぶには産卵期、取れる時期を知っておきましょう。
マサバの産卵期は東京付近では4〜5月、近海に住むサバはえさが多いため、この後大食して秋になる頃にその甘く味が非常に美味しくなって来ます。これを秋サバと言います。
ゴマサバの産卵期は7月〜8月ですから、秋にはまだ脂がのってないため、マサバをおススメします。

マーケットで見かけるものは殆どがマサバですが、ゴマサバは名前の通り、腹部にゴマのような黒い斑点があり、マサバは背中の方にくの字の濃い青い縞模様があるものです。
サバは日本海のものが有名で、江戸時代の「日本山海名産図会」には、鯖、丹波、但馬、紀州、熊野より出す。そのほか能登を名品とす、と記されており、京都では祭りやお祝いごとにサバ寿司を作りますが、若狭・小浜から若狭街道(通称サバ街道)を通って京都に運ばれたサバは、小浜で内臓を抜かれ、腹に塩を詰めて2日かかって京都に運ばれ、市場に並ぶ3日目には程よい塩加減になっていたようです。

腐っても鯛といわれる鯛に比べ、生き腐れなどとは心外だなぁとサバの声が聞こえそうなので、サバに変わって弁明を。サバは体内に強い消化酵素を持っていて、収穫後、死後硬直の後、すぐにぐにゃっとしてしまう事から言われたのですが、腐ったのではなくて、消化酵素が原因です。


<栄養>
10月〜12月のサバは非常に脂がのっており、その脂肪には血液をサラサラにして動脈硬化性疾患などを防ぐEPA(エイコサペンタエンサン=IPA)、脳血管細胞を活性化するDHA(ドコサヘキサエン酸)が多量に含まれており、この2つは必須脂肪酸の中でn-3系、最近注目されているのはアラキドン酸(ARA)と言ってn-6系の脂肪酸。どちらの脂肪酸も体内では作られない、または作りにくいものなので、食事から摂取して補う必要がある必須脂肪酸。 なぜ、ARAが最近注目を浴びているかというと、脳を活性化するという研究成果が発表されたことにあります。

アラキドン酸は私達の体中にあり、DHAと共に細胞膜の基本構成成分であるリン脂質に含まれる重要な成分のひとつです。 例えば、母乳にはARA 0.4、DHA 0.9、脳にはARA 7.5、DHA 08.4、血液にはARA 10.0、DHA 7.6、皮膚ARA 9.8、DHA 1.8 などですが、特に脳の「ものを考える」という作業のプロセスの詳細が明らかになり、ARAは神経伝達物質に働きかける事がわかってきたので、一部では脳の老化防止に役立つ などと表現されるほど、今注目されている脂肪酸です。

  たんぱく質源としても優れた量が含まれ、ビタミンA,、B群、E、鉄、カリウムなども含まれています、が、ビタミンやミネラルは魚肉の10〜15%を占める血合いに豊富。ビタミンの中でも群をぬいて多いのは、肌や老化に関わるビタミンB12が多く、私達の食生活ではなかなか摂取しにくい栄養素、サバ1切で一日分のB12が摂取出来ます。

見分け方
脂ののった新鮮なサバは、エラの部分が鮮紅色で、全体に弾力とハリがあり、見た目にもぷっくりとしているもの。
目が澄んでいて、背中にクッキリとくの字模様があり、腹側の銀色の中に金色の筋、少しピンクのように見える光方をしているものが新鮮な証拠です。

トレーののせて売られているものは、ドリップが出ていないもの、切り身で売られているものは血合いが変色していないものを選びましょう。

<保存法>
その日の内に食べるのが原則ですが、〆さばにする時は塩サバにしてから、酢で洗って、更に酢に漬け、一度冷凍(アニサキス対策)しますから、そのまま冷凍保存されても良いでしょう。

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<鮭>

名前の由来は、アイヌ語のシャケンベ=ク・イベ(夏の食べ物)がなまったものという説や 勢いよく瀬を跳ね上がるので、「瀬蹴」がさけになったという説があります。
英語のサーモンは、昔、ジュリアス・シーザーの兵士達がゴール遠征の時、川を上がる鮭の姿 salmon(跳躍)と叫んだ事に由来するといわれています。

一般的に「鮭」と呼ばれているのはしろ鮭ですが、他のサケ科の魚をマスと言っています。
そのサケ・マスの仲間に同じ種類で一生河川で生活するものが(陸封型)と、2年か3年、河川で生活して 海に下り、散乱のために河川に戻ってくるものとがあります。
例えば、サクラマスの陸封型が山女であり、紅鮭の陸封型がヒメマスです。サケは母川回帰と言って 80%以上が母なる川に戻って来ます。サケは原始、古代の頃から食べられていましたが、平安朝になると 宮中の祭祀には不可欠となり、献上品となり、各地から都へと納められたと「延喜式」に記されています。


<栄養>
身は赤いですが、白身魚に分類され、赤い色はアスタキサンチンといって、エビの殻やカニの赤い色と 同じ成分です。最近、抗酸化作用がわかり、活性酸素の害から体を守るとして人気が出てきました。
鮭の脂肪分には血液の循環をよくするEPA(エイコサペンタエン酸)、脳の細胞を活性化するDHA (ドコサヘキサエン酸)が豊富で、最近、特に流行している脳の若返りに効果があるとされるARA(アラキドン酸) などが含まれています。そのほかには、たんぱく質や脂質の代謝を助けるビタミンB6が多く、ビタミンA、B、E カルシウムや味覚に影響する亜鉛をはじめとし、ミネラルも豊富とはいえませんが、期待出来る程度 含まれています。
鮭の栄養を効率よく摂取し、吸収するためには、ビタミンCが必要ですから、鮭と緑黄色野菜、果物などを 一緒に摂るようにしましょう。特に、鮭と玉ねぎときのこ、栗、サツマイモなどを組み合わせた料理は、 この季節に必要な栄養を理想的に摂取出来る組み合わせの1つになります。

見分け方
大半は切り身で売られていますが、塩の加減によって皮目のハリが変わってしまいます。 そこで、鮭は切り身の身の色で判断をします。切りたての鮭はまさしくサーモンピンク。 日が経つとこのピンク色が薄くなり、黄色味まで出てきてしまいますので要注意。
1尾で購入するなら、皮にしわやしみが出来ていないもの、身にハリがあるもの、、、 ですが、一番の方法は良く売れているお店で買う事でしょうか? 回転が早い分、新鮮なものが店先に並びますからね。

<保存法>
ほとんどは焼いて召し上がるでしょうから、ラップで1食分ごとを包んで冷凍保存するのが良いでしょう。
オーブンやホットプレートで、ちゃんちゃん焼きや香草焼きなどをされる方は、1/4切れ、もしくは 半身で骨などのでこぼこ部分には、濡らしたキッチンペーパーを埋め込んで、きっちりとラップをして 冷凍保存しましょう。
お弁当やおむすびなどで、フレーク状にして使われる事が多いようでしたら、瓶や保存容器に入る分を オーブントースターかグリルで焼きますが、焼きすぎて旨味の多い脂肪を必要以上落とさないように 注意しましょう。脂肪と一緒にほぐして混ぜることで美味しいフレークが出来上がります。

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<柿>

日本、韓国、中国に古くから自生し、食べられていましたが、918年「本草名」に「加岐」と記されているのがもっとも古い記録となっています。927年「延喜式」には儀式、祭礼の菓子(くだもの)として、熟柿(じゅくし)や 干柿が利用されたと記されています。
当時の柿は渋柿で、中国から渋抜き法が伝わってきたのは平安・藤原時代で 「淡し柿」「水淡し柿」として賞味されるようになりました。 鎌倉時代になると樹淡(きさわし)、木練(こねり)など甘柿と思われる品種も出現、室町時代になると串柿や干柿が茶事のお菓子と用いられ、江戸時代になると、現代の品種の 殆どが出揃い、藩主の指導もあったのでしょう各地で盛んに栽培されるようになり、岐阜県の蜂屋、広島の西条、祇園坊、 奈良の御所柿、神奈川の禅寺丸、福島の会津身不知、山口の横野など、有名品種が揃いました。

有名な富有、次郎、平核無(ひらたねなし=別名:庄内柿)は、明治に入ってからで、明治35年に静岡に国立の園芸試験場が出来た時に紹介された58種の中のもの。
柿は甘柿と渋柿がありますが、収穫期になると果実の水溶性のタンニン物質が不溶性になり、渋みを感じなくなるものが甘柿、 不溶性にならないものが渋柿です。が、甘柿でも未熟果や気温の低い所では甘くならない時があります。


<栄養>
昔から、柿は酔い覚ましに良いといわれるほど、ビタミンCや渋み成分のシブオール、アルコールデヒドロゲナーゼといった アルコールを分解する働きを持つ成分が含まれています。ビタミンCに関しては、大きいものなら、1個で一日に 必要なビタミンCを含み、β-カロテン、ビタミンB群、カリウムなどのミネラルなどもバランスよく含まれています。
柿の皮を剥いて食べる方が多いと思いますが、皮にもβ-カロテンが多く、ポリフェノールもありますから、 なるべく皮ごと召し上がって下さい。柿の葉は食べる事はないと思いますが、乾燥させてお茶や、お寿司をくるんだりした 柿の葉寿司に使いますが、実以上にビタミンCが多く、含有量ではみかんの数十倍に匹敵しまう。

見分け方
基本的にはぶりっと艶やかであり、白いブルームが出ているもの、柿色の濃いもの。ヘタが乾燥していなくて、もちろん ヘタに虫食い穴がないもの。下やヘタの周りがゆるんでいるものはお好きな方もいらっしゃいますが、古いものです。

<保存法>
室温で1週間、冷蔵庫では2週間くらいが美味しい保存期間でしょうか。渋柿は冷凍をする事で渋みが抜けますが 渋柿の美味しい食べ方に関しては 丸秘テクニックを参照!
果物として食す以外でも、サラダや糠漬け、合えものなど、幅広く応用が出来ますね。

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<秋刀魚>

今ではサンマは秋刀魚と書きますが、昔は狭い魚「狭真名(サマナ)」が サンマに転訛したというのが一般的ですが、昔、関東の一部では 三馬とも書き、関西地方では、大漁を祈願してサンマを神嘗祭の供物としていたため 祭魚(サイラ)とも呼んだそうです。
漢字の由来は、秋に獲れ、銀色の部分が多くて刀のような魚だからです。 サンマは太平洋だけ、それも北緯20度〜55度の北太平洋だけに生息しています。

8月頃までは北海道よりも北の千島近海にいますが、9月に入ると産卵のために 群れを作って北海道南岸の釧路沖を通過、三陸沖には10月頃、その後、房州沖、 熊野沖と本州の太平洋沖を南下してきます。
サンマは南下しながら成熟し、産卵直前が一番、脂がのっていて美味しいので、 熊野沖だと産卵している可能性が高く、その直前、房州沖が一番の美味となります。 日本のサンマは水温の低いところにいますから、アニサキスという寄生虫が少ないのですが、 回遊魚のため、外国でも網にかかりますが、水温が高いとアニサキスも多いので ペットフードに使われる事が多いようです。

サンマは「和漢三才図会」に、「伊賀大和土民好んでこれを食べるが、魚中の下品である」と、 サンマを卑しんでいますが、昔はマグロでもトロを捨てていたくらいですから、きっと、脂の 多いものを下等視する風潮のせいでしょう、サンマほど色々な文献に出てくる魚はいませんから なじみの多い魚であったことはたしか。
目黒のサンマは落語にもなっていますが、実は実話^^;なんですよ。

ある秋の日に三代将軍家光が鷹狩りに出かけ、その帰りにあまりの空腹で 目黒の彦四郎爺さんの茶屋に寄り、何でも良いから食事をと。 おじいさんは自分の夕食用のサンマを将軍に出したら、あまりの美味しさに この茶屋から見える限りの土地を彦四郎爺さんにやる、といわれたのですが、 彦四郎さんは将軍に庶民の味、サンマを褒めて貰っただけでよいと、断ったそうです。 家光がサンマは目黒に限ると言ったという文献はありませんが、 よほど気に入ったのか鷹狩りに行く度に立ち寄ったそうです。

<栄養>
生活習慣病や脳の活性、エイジングに関与する脂肪酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA (エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)をたっぷりと含み、アミノ酸バランスの良い、良質な たんぱく質も含まれていますから、精神安定や血液の循環に役立ちます。 また、ビタミンB12は他の魚に比べて、数倍あり、塩焼きで血合いも一緒に食べますから 動物のレバー並みとも言えます。そのほか、ビタミンA、B2:,D,E,カルシウム、鉄なども 多く含まれています。

見分け方
細い魚ながらも、尾までが良く太っていながら、全体にツヤがあって、プリッとしまった感じというか ピンと反り返ったというのが新鮮なサイン、表面にしわがあるものはもう、頂けません。 目が生き生きとしているもの、魚とて、目がものを言います。 口先や尾の付け根が黄色いものは、脂がとてもよくのっています。

<保存法>
すぐに食べないのなら、内臓を抜いて冷凍をします。 内臓ごとでも良いのですが、焼いたときに内臓の水分が流れ出てきますので、 よほど好きじゃない限りは、内臓を抜いて、1本1本ラップに巻いて冷凍を。 青背の魚はとても腐りやすいので、冷蔵保存はお勧め出来ません。

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<サトイモ>

サトイモは山の芋に対して、里(畑)に出来るものなので、サトイモと言います。 起源は古く、紀元前。原作はインドが中心地域で、原始マライ族の移動とともに 各地に広がり、「タロイモ」として、先住民の主食になっています。 日本に渡来した時期は定かではありませんが、紀元前に中国からという説と太平洋諸民族の 渡来によると伝えられています。日本で稲作が始まったのは弥生時代で、それ以前の 鎌倉時代には焼畑農業が行われており、当時の中心作物はサトイモだったようなので、 サトイモはイネとりも古いということになるでしょうか。

サトイモはとても腐りやすいので、イネや野菜の種子のように遺跡から出てこないために 紀元前からあったという実証がなかなか出来ないようです。 日本に定着したサトイモはタロイモの中で、もっとも北の風土に適した系統で、ウモとか イエツイモと呼ばれていました。ウモは芋の古語、イエツイモは冒頭に書いたヤマイモに対しての意味。

古来から、栽培されていただけにサトイモにまつわる風習は多いのですが、親芋に小芋、小芋に 孫芋と増えていくので、子孫繁栄の食べ物とされています。 サトイモの仲間には、ヤツガシラ、唐イモ、セレベス、エビイモがあり、一口にサトイモといっても キヌカツギと呼んでいる蓮葉イモ、石川早生、土垂系のイモなど多数あります。


<栄養>
主成分は糖質ですが、カロリーは少なめで、サツマイモの半分程度。カリウムが多く、 ビタミンB1やビタミンC、食物繊維なども豊富です。 独特のぬめりは、ムチンで、老化防止や粘膜強化に有効とされるガラクタンという多糖類と たんぱく質が結合した植物性の粘性物質で、消化を助けたりもします。 このサトイモの粘性と栄養を体内で生かすには、たんぱく質、特に豚肉などのビタミンB1と 一緒に摂取すると、疲労回復などの効果も高まります。また、たんぱく質をイカ、タコ、エビのように タウリンの多いものと組み合わせると、更にパワーアップ。

見分け方
土が必要以上に湿っているものは避け、適度な湿りのものを。 形で見分けることは難しいのですが、ぷっくりとしたものが良いでしょう。 よ〜くみて、切り口が赤く変色しているものも良くありません。

<保存法>
土をつけたままだと、サトイモは自分で熱を出して腐りやすくなりますから、 買ってきたらすぐに洗って、天日に干して、皮を乾燥させます。 煮炊きする前に、一度チルドルームで氷温にすると、ガラクタンが冬と勘違いして 生き残るために糖質を上げようとしますから、美味しいサトイモに変身します。 たくさん購入した場合はレンジで加熱してから、皮をむき、冷凍しましょう。

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<昆布>

昆布や若布(わかめ)は大和、平安の時代から、御餐として朝廷に献上されており、 当時は布という字をメと読み、昆布は広布(ヒロメ)、北海道で取れるので夷布(エビスメ)と言い、 布は海草の総称でした。語源は中国の輪布(くわんぶ)から転じたとされており、輪が紐とか縄の意。 コンブと呼ぶようになったのは平安末期からだといわれています。
コンブは北で採れるのに、大阪が特産品なのは、北前船以来の伝統ですが、京都の精進料理に多く使われ また、その産物を佃煮にもしたというのもあって、一番の市場になったようです。

さて、と、乾物ではないコンブはとても腐りやすいので、あまり一般的な市場には出ていませんから、 乾物のお話とコンブは夏が旬であるというお話でした。 乾物 で、コンブの表面についている白い粉はマンニットと言って、コンブのうまみ成分です。  使う前に洗ったりしないようにしてくださいね。

<見分け方>
色が濃く、乾物でありながらもツヤを感じるハリのあるものを。 褐変したり、色が薄いものは古かったり上質ではありません。

<保存法>
なるべく乾燥して、風通しの良い所で、日の当たらないところに。

<栄養>
ヨードをとても多く含み、だしを取ると90%は出しに出ます。  食物繊維、カリウム、カルシウム、鉄も多いので、出来るなら、手作りのおだしを取るようにして下さいね。

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<きゅうり>

きゅうりは漢字で書くと「胡瓜」と書き、胡は西域という意味なので、西から来た瓜ということに なります。まぁね、西の瓜と書くとスイカなんですが、どちらも西方から来ているそうです。 昔は苦味が強かったようで、江戸時代の文献にも白瓜よりも劣ると書いてあるほどですから、 あまり普及はしなかったようです。一般的に普及したのは明治の頃と言われています。

<見分け方>
胡瓜は緑色が濃く、まばらな色つきではないもの(満遍なく太陽に当たっているもの)、 イボイボの先が棘があって、痛いものが新鮮です。収穫されてすぐの胡瓜には花落ち(花の ついて居た所)に黄色い花がしおれてくっついているものもあります。
まっすぐなものでも、曲がったものでもしっかりとハリのあるものを選びましょう。つるのついていた 方を押さえてフカフカするものは、収穫から日数が経ってますから、要注意です。

<保存法>
胡瓜はすぐに食べない時は冷蔵庫の野菜室に新聞紙にくるんでから、ラップをして ぴったりと止めずの少し空気が出入りするようにしておきます。きゅうりは冷所を嫌いますので、 冷蔵庫本体に入れておくと腐ってきます。 また、水に濡れたまま保存をするとその水気で 腐りやすくなってしまいますから、キッチンペーパーなどで拭いてから保存しましょう。
2日で食べるなら、常温のまま、風通しの良い所に置くほうが、美味しく保存が出来ます。

<栄養>
胡瓜の96%が水分で、ビタミンB群もCもごくわずかに含まれている程度。ですが、この 水分とカリウムが尿の排泄に役立ち、むくみやだるさを防ぎます。 また、カリウムはナトリウムを排泄する働きがあるので、高血圧の予防にもなります。
胡瓜にはビタミンCを酸化させるアスコルビナーゼという酵素が含まれているので、切ったらすぐに アスコルビナーゼが働き始め、他の食材のビタミンCを壊してしまいますから、すぐに酢で合えるか 酢を含んだドレッシングをかけるようにします。
暑い夏、この胡瓜の水分は熱気を冷ましてくれますので、食卓にたくさん登場させて下さいね!!

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<トマト>

<見分け方>
トマトのてっぺんの花がついて居たところをよ〜くみて下さいね。
放射状にやや黄色いか同系色の薄い色をした筋が走っています。
この筋、桜甫流では トマトの☆(星)と呼んでいます。
土壌の水分が多すぎず、完熟したトマトほど赤味が多く、この筋が出来ています。
東京ではなかなかお目にかかれませんが、産毛のあるものがしっかりと自力で甘みを蓄えたトマトです。
トマトの形はまん丸じゃなくても、いびつでも硬くしまった感じがあり、星と産毛が目安です。
お店では、ヘタをなかなか見る事が出来ませんが、見る事が出来たら、ヘタが新鮮で乾燥していないものを選びます。

<保存法>
常温で保存します。冷蔵庫に入れたままですと、甘みが育ちませんので、常温におき、 サラダなどでは調理する前に冷蔵庫で30分ほど冷やします。
トマト自身の重みで下の方が少し柔らかくなり、腐り始めてしまいますから、なるべく早めに召し上がってくださいね。

<栄養>
β -カロテン、ビタミンB6、ビタミンC,食物繊維、カルシウム、カリウムなどが含まれおり、色素成分のリコピンはTOPページにもあるように、紫外線対策と修復に役立ちます。
また、リコピンは免疫力も高めてくれますから、ヨーロッパではトマトが赤くなると医者は青くなるとも言われています。リコピンはカロテノイドの一種で、β -カロテンやビタミンEよりも抗酸化力に優れ、リコピンは加熱をしても減りませんから、どんな料理でも力を発揮します。
ビタミンB6はアミノ酸の代謝をよくします、カリウムはナトリウムの排出を促し、血圧を安定化させるのに役立ちますね。粘膜や毛細血管も丈夫にするルチンも含まれており、クエン酸やリンゴ酸といった酸味が胃液の分泌に役立ちますから、夏の食欲増進効果も期待出来、疲労回復にも役立ちそうです! 生のトマトが苦手な方は、ケチャップやトマトソースでも補えますよ。

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<にがうり>

<見分け方>
ずっしりとして重く、表面にツヤとハリがあり、鮮やかな緑色のものを。
また、イボがしおれた感じのない、ごつごつ感が新鮮な証。
根元が割れているものがたまにありますが、苦味が強すぎたり、食感が悪いので避けましょう。

<保存法>
にがうりはなるべく早く使います。冷蔵庫の中に入れっぱなしにしておくと風邪をひいて腐りやすくなってしまいますので、購入した日か翌日には使い切る方が良いでしょう。
食べきれない時はさっとゆでて和え物や炒めておくと、風味は半減しますが、少し長く保存が出来ますね。

<栄養>
別名ゴーヤと呼ばれるにがうりは、フラボノイド系のククルビタシンという独特の苦味成分を持っています。
ククルビタシンは毛細血管を丈夫にして、免疫力を高め、糖尿病の方には嬉しい血糖降下作用もあります。
ビタミンCが豊富で、トマトの5倍、キャベツの2倍、しかも、加熱による損失がないので嬉しいですね。
ビタミンB1、B2、β -カロテン、カリウム、食物繊維なども含み、豚肉と一緒に調理するゴーヤチャンプルーなどは、夏ばて予防にもなり、β-カロテンとの相乗効果で、疲労回復にも効果的、また、鉄やカリウム、リンなどのミネラル分も含まれているので、血圧を正常に保つ働きも期待出来ます。
夏には欠かせない食材と言っても過言ではありませんね。

苦味が苦手な方は、薄く切って、先に油でサッと炒めて頂きますと、苦味が和らぎます。
  また、一般的な料理本では塩もみをしてからと書いてありますが、逆に苦味が増しますのでご注意くださいね。

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毎年恒例の芋煮会パーティー、今年も開催しました。